ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)とは?

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SSTとは

ソーシャルスキルとは、対人場面において、相手に適切に反応するために用いられる言語的・非言語的な対人行動のことで、その対人行動を習得する練習のことをソーシャルスキルトレーニング(SST)といいます。簡単に言うと、「人と上手に関わる技術」のことです。

近年では、発達障害のある子どもなどに対して効果があるとされ、学校や療育施設、病院などで取り入れられています。今回は、発達障害のある子どもを対象としたSSTについて考えてみたいと思います。

SSTの目的

SSTは生まれつきに獲得される能力ではありません。人は生まれてから多くの人たちと関わりながら知識を身につけ成長していきます。ほとんどの子どもはわざわざトレーニングをしなくても、親や周りの人の行動を見聞きしたりして、自然に社会生活に必要な行動を習得し、小さな成功体験を積み重ねることで自己肯定感も育っていきます。

しかし、発達面にアンバランスさのある子どもは、それらのスキルの習得に何らかの困難さを抱えており、単に学校や家庭等で社会生活を過ごすだけでは適切な対人関係を築くことが難しいのです。社会的技能を身につけることを目的としたSSTは、発達障害の改善の面でも注目されています。

SSTの最終目的は、大人になった時に、ある程度一人で生きていきながら、他者にも上手く頼りながら生きるていけるようになることです。

SSTはどのような人を対象として行うの?

SSTの主要な対象になるのは、統合失調症・広汎性発達障害・社会不安障害・学習障害(LD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)などコミュニケーション能力に問題を抱える精神障害・発達障害のある人です。

しかし、健康な人であっても、他者との関わり合いや相互的なコミュニケーション、基本的な社会生活に何らかの困難や苦手意識を持っている場合には、SSTを実践することで問題が解決することがあります。

一般的な小中学校の教育でも、円滑な友人関係の構築、いじめ問題の予防・解決などを目的にしてSSTが実施されることもあります。また、人と会話をする時、緊張が強くて上手く会話ができなかったり自己主張や自己開示が苦手で、人間関係が上手く作れないという人にも有効です。

発達障害の子どもに対してのSST

発達障害は、脳の中枢神経系の機能障害があり、ソーシャルスキルの誤りにも大きな影響を与えています。また、これらが要因となり、対人関係が少なくなることや、社会的場面への参加が少なくなり、ソーシャルスキルの「誤学習」、「学べない」という負の連鎖に陥りやすくなります。

また、発達障害を持つ子どもの多くは、学校や家庭など日常生活場面で「やろうと思ってもできない」、「やってみたけれども上手くいかない」といった不適応な行動が起きやすい。発達障害は、見た目からもわかりにくい障害のため、周りからは理解も得にくく、そのため、良好な対人関係を築きにくいことが多いのが現状です。SSTは、発達障害の中でも知的障害が軽度な子、ADHDで集団行動が苦手な子に向いています。

明日からの生活で取り入れられるSST

ここでは、日常生活で取り入れられる簡単なSSTを2つ紹介します。

挨拶をする

挨拶は、人とのコミュニケーションには欠かせないものです。「あいさつをすることは気持ちがよいこと」「相手の気持ちが嬉しくなること」ということを子どもが肌で感じられるような環境を作っていくとよいでしょう。

相手の気持ちを察する

子どもの中には、相手の気持ちを理解することが苦手な子どもがいます。そのような子どもが、上手く相手の気持ちを読み取れるようになるために、多くのSSTの方法が考えられています。例えばゲームや、ロールプレイ、絵カードを用いたものなどです。「嫌なことをされたとき自分はどう思うか、その嫌なことを実際にされている相手はどんな気持ちか」を考える訓練をすることで、実際の生活でも自然と相手の気持ちを理解できるようになるでしょう。

どの方法を実施するときも、楽しい雰囲気づくりを心がけることが大切です。

行う側は、明るくあたたかい受容的な態度で臨むことが、子どもにソーシャルスキ

ルの喜びを体験する手助けになり、それが定着化にもつながっていきます。

まとめ

SSTは、行動の教育、思考の教育であるが、「やらされる」ではなく、「やってみたら気持ちのいいものだ」と思えるものにすることが大事です。 私達大人の普段のふるまいは、子どもにとって良きモデルにあたります。ソーシャルスキルに沿って、私達大人が、自分を振り返ってみると、より良い子どもへの教育ができるのではないでしょうか。

ソーシャルスキルは子どもだけに必要なものではありません。大人にも子どもにも必要な技術です。最初から「会話がうまくなる」という急激な変化を求めるのではなく、苦手なことを一つひとつ解消しながら本人の感じる「生きづらさ」に対応していけると良いでしょう。

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