「わたしも水虫に感染したらどうしよう」
仕事で水虫に感染するのは辛いですよね。入浴介助の現場は白癬菌が多い環境なので、不安を持ちながら働く看護師さんが多いです。でも、白癬菌に触れたら感染、発症をするわけではありません。
白癬菌の特徴と自分の足タイプを知れば、しっかりと感染予防ができ、入浴介助の仕事が不安なくできます。そこで今回は、入浴介助で水虫にならないために、自分でできる白癬菌対策を紹介します。
白癬菌は生きているカビで、温度、湿度、栄養条件が整えば細胞分裂して増殖します。
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温度 |
適温は36℃(15℃~60℃でも生きられます) |
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湿度 |
60%以上 |
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栄養 |
タンパク質ケラチン 皮膚の表面を覆う角質層(垢となって落ちる場所) |
入浴介助の現場は、①高温②多湿③ケラチン(垢)が豊富な3条件すべてそろった場所で、白癬菌にとって住み心地の良いものです。高齢者になると足白癬や爪白癬になりやすく、利用者さんの皮膚からはがれ落ちた落屑を介助者が素足で踏んで、菌が付着するといった場面が多くみられます。
白癬菌は24時間以上経過しないと、角質中に白癬菌が侵入することはありません(傷がある場合は24時間以内に角質中に侵入します)。侵入後、さらに増殖して感染すると水ぶくれや足趾の間に皮がむけるなどの症状を引き起こします。
足に感染した「足白癬」が爪に侵入すると「爪白癬」になり、爪甲が混濁&肥厚して、爪切りケアが難しいです。治療方法は内服か外用薬ですが、併用禁忌薬や副作用症状(頭痛・胃腸障害)に注意が必要で、内服できない方は抗真菌外用薬を使用します。
同じ入浴介助をしていても、白癬菌に感染する人としない人がいるのはなぜでしょうか?
| 足白癬になりにくい人 | 足白癬になりやすい人 | |
| 足趾の形 | 足趾が開いてすき間がある | 足趾と趾がピタッとくっついている |
| 履物 | 普段はサンダルや通気性の良い靴をはいて風通しがよい | 普段は革靴やブーツを長時間はいて蒸れやすい |
| 汗 | 普通~乾燥している | 汗をかきやすい |
| 病気 | なし | 糖尿病(手足の血行不良・感覚障害) |
感染が成立するのは、入浴介助後に足に残った菌が角質から入り込み、繁殖しやすい環境条件が整った時です。つまり入浴介助そのものだけではなく、自分の足の形状や普段履いているものも白癬のなりやすさに関係してきます。
足白癬の中で多いのは、趾間型足白癬といって足趾の間になる人です。足の趾と趾がピタッと密着するタイプの人は、その部位に汗が溜まりやすく、洗い残しや拭き忘れがあると、そこから白癬菌が繁殖します。
また仕事中や通勤に使用する靴が蒸れやすい人も要注意です。糖尿病の場合は皮膚症状に気づきにくく、菌に対する抵抗力が弱いので、足白癬になりやすい傾向があります。
入浴介助の現場は一年中白癬菌が活発な環境で、菌を避けることはできません。でも5つのポイントに気をつければ予防ができます。
足趾がピタッと密着するタイプの人は、忘れがちな趾と趾の間をシャワーでしっかり洗い流してください。皮膚の表面に菌が付いているだけなら、石けんを泡立ててやさしく洗浄するだけで十分取れます。
自分専用のタオルで拭いて、乾燥させてから靴下をはいてください。とくに、足趾と趾の間をふくのが大事です!面倒かもしれませんが、家の入浴後にも忘れずに拭いておくと予防になります。
趾同士がひっついている人は5本指ソックスがおすすめで、白癬菌の好きな湿気を予防します。休憩時間には、グーチョキパーの筋肉運動をして足趾を広げるストレッチをしましょう。そのときに足に傷がないかどうかチェックする習慣をつけるとよいですね。
くすりを使っても良くならないときは、他の病気かもしれません。受診がまだなら早めに診てもらって、完治しましょう。
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常在菌の感染 |
皮膚の表面の常在菌が湿った趾間で増殖するただれ、悪臭 |
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かぶれ(接触皮膚炎) |
じゅうたんや靴下、靴の染料などに触れて起こるかゆみ、発疹、水泡 |
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汗疱性湿疹 |
手足に汗をかきやすい人に多い足裏の小水疱、皮むけ |
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皮膚カンジダ症 |
足爪や趾へのカンジダ菌の感染趾間のただれ、爪周囲の炎症 |
バスマットやタオルは菌が繁殖する場所なので、こまめに取り換えましょう。菌は乾燥に弱いので、バスマットを十分に乾かすことで他に広がることが防げます。洗濯機で他の洗濯物と一緒に洗うことはOKですが、大事なことは乾燥をしっかりすることです。
まとめ
入浴介助終了後に足と足趾の間を丁寧に洗い、よく乾燥させていれば感染は予防できます。
上記の白癬菌対策をして、「水虫にならない」足環境を整えましょう。
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「親の面倒を見ているのに自分が親の金使って何が悪いの?」
「事故や近所の方とトラブルが起こると嫌だからね…外出やご近所さんとの交流を禁止にしています」
認知症高齢者を介護する家族の発言で「これって虐待かな」、「どう対応すればいいんだろう」と悩んだケースはありませんか?
身体にアザがあれば虐待とわかりやすいけれど、直接的な侵襲がない場合は判断に迷いますよね。とくに閉鎖的で家族関係が見えにくい家庭であるほど、SOSの発信に気づくのが難しいものです。
そこで今回は、「あの時もっと早く気づいてあげればよかった」と緊急事態を防ぐために、訪問時に使える“虐待の種類・早期発見チェックリスト”と“虐待の程度・対処方法”についてお伝えします。
虐待といっても種類や程度は各家庭さまざまで、状況も刻一刻と変化します。まずは現状を把握するために、“虐待の種類”と“早期発見チェックリスト”を確認しましょう。
「虐待の種類は5つに分類できるので、具体的にイメージしやすいようチェックリストで紹介します。
1. 身体的虐待
2. 介護・世話の放棄
3. 心理的虐待
4. 性的虐待
5. 経済的虐待
上記の5種類の虐待の発見のための“早期発見チェックリスト”は、以下の通りです。
□ あざや傷がある
□ あざや傷の説明を隠そうとする
□ 人との交流を禁止されている
□ おびえた表情、「怖い」「怒られる」等の発言
□ 「痛い」「家にいたくない」「殴られる」等の発言
□ 支援をためらう、サービスの拒否
この他に、手足を縛る身体的拘束も身体的虐待に含まれます。
□ 室内や衣服が不潔(異臭、極度な乱雑、暖房の欠如、汚れたシーツ)
□ 身体が不潔(異臭、汚れた髪、のび放題の爪)
□ 食事がない
□ 医療やサービスを受けていない
ネグレクトは、意図的であるかは問われません。
事情があって介護できなかった場合も、高齢者が劣悪な状態であるなら虐待といえます。
□ 急な体重増減、やせすぎ、拒食と過食
□ 「ホームに入りたい」「死にたい」等、自分を否定的に話す
□ 不眠
□ 家族が「早く死んでしまえ」など否定的な発言
この他にも、家族が「ばか(のろま)」といった名前で呼ぶ、大声で叱る、「施設に入れるぞ」と脅すのも心理的虐待に含まれます。
□ 生殖器等の傷、出血、かゆみを訴える
□ おびえた表情、怖がる、人目を避ける
□ 話すことをためらう、援助を受けたがらない
夫婦間でのドメスティックバイオレンスも虐待に含まれます。
□ 「お金をとられた」、「年金が入ってこない」、「貯金がなくなった」等の発言
□ 資産と日常生活に落差がある
□ サービスの利用負担が突然払えなくなる、サービス利用をためらう
金銭管理を自分の子供にまかせる高齢者もいますが、日常生活に支障がでる場合は経済的虐待とみなされます。
虐待予防・発見チェックリストは、下記を参考にして作成しています。 ダウロードが必要な方はこちらをクリックしてくださいね。(2019年8月現在)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/zaishien/gyakutai/understand/teido/pdf/checksheet.pdf
出典)首都大学東京 副田あけみ教授作成の様式を一部修正 東京都老人総合研究所作成
虐待の種類と早期発見チェックリストの次は、“虐待の程度”を3つのレベルに分けて把握します。
1.緊急事態
生命に関わる重大な状況を引き起こしており、一刻も早く介入が必要。
2.要介入
放置しておくと心身に重大な影響があるので、本人の自覚の有無にかかわらず介入が必要。
3.要見守り
心身への影響は顕在化しておらず、虐待か判断に迷う状態。
そして、「緊急事態」「要介入」「要見守り」の対処方法については、以下のようになります。
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程度 |
対処方法 |
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緊急事態 |
状況に応じて警察や救急に連絡 ショートスティなど緊急避難 |
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要介入 |
事業所における対応マニュアルの整備 介護保険サービスの積極的利用 専門職や区市町村のネットワーク形成 |
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要見守り |
ケアマネジャーによる家族への助言や情報提供 介護サービスの見直し 地域の見守り声かけ |
東京都パンフレット「高齢者虐待防止と権利擁護」を参考、一部修正
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/zaishien/gyakutai/torikumi/doc/pamphlet_2009.pdf
最後に認知症と虐待の関係を考えるポイントとして、“認知症高齢者の虐待が多いワケ”と“男性介護者による虐待が2/3を超えている”ということをお伝えします。虐待されている約7割の高齢者には認知症の症状がありますが、これは介護者がよりストレスフルな介護困難場面に遭遇しやすいからです。
「飯を食わせてくれない」と愚痴る認知症の父に、「ご飯はいま食べたばかりでしょ!」と強くあたったり無視をしたりと、介護者が疲れ果てている場面は想像しやすいでしょう。また、介護期間の見通しが立たない不安を抱え、コミュニケーションの取りにくさにイラ立ち、ときには自分自身の老後を投影して恐怖を抱くこともあるでしょう。このように認知症高齢者の虐待は、家族の身体的疲労だけではなく、精神的負担の大きさも関係しています。
在宅介護における虐待者の続柄は、「息子」がもっとも多く、次いで「夫」、「娘」の順です。つまり“男性介護者による虐待が、2/3を超えている”という状況です。これには、①家事や介護に不慣れで負担を感じやすい、②地域と関りが薄い孤立、③失業中で親と同居している、④長年の親子関係の悪化、などの問題が背景にあります。
虐待は過去最多で更新し続けている現状があり、虐待が疑われるケースの10%ほどは命に危険がある緊急事態といわれています。認知症ケアにおいてナースが働きかける対象は、患者本人だけではなく家族にも十分な配慮が必要です。
家族の自覚のなさが虐待を助長することもあるので、未然に防ぐためにも家族の認知症への理解を深め、介護負担を軽減できるようサポートできるといいですね。
【参考】
「高齢者虐待防止の基本」 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/1.pdf
2019年8月アクセス
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「自立支援医療」は、利用者さんの経済的な相談に役立つ制度のお話で、「自立支援介護」は、介護方法の方針となる用語です。頭に同じ「自立支援」がついて混同しやすいですが、その意味や使い方はまったく違うものですね。
そこで今回は、高齢者とかかわりの多い看護師さんのために、「自立支援医療」と「自立支援介護」をそれぞれまとめました。いざというときのために、この機会に用語の再確認しておくと安心ですね!
医療費の自己負担額を軽減する目的で作られた制度で、その対象者は3つに分かれます。
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種類 |
対象者 |
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精神通院医療 |
精神疾患の治療を継続的に必要としている人。 |
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更生医療 |
身体障害者の治療。 |
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育成医療 |
身体障害児の治療(18歳以下)。 |
高齢者と関わる看護師さんには、精神通院医療が身近な制度ですので、覚えておくと便利です。
この制度は、通院治療が必要な精神疾患の人を対象に、1割負担まで軽減される制度です(※限度額は世帯の所得額に応じて決められています)。
たとえば、認知症の進行によって医療費にかかる負担が増加した場合、住んでいる市町村に申請して、指定の医療機関・薬局で利用できます。
認知症は医療と介護の両輪でケアしていく症状ですので、少しでも治療に専念できるように、お金の負担や不安を軽くするという意味では有用な制度ですね。
もしかすると、身近な利用者さんやご自身の家族も、自立支援医療が受けられる対象となるかもしれません。そんな時「それ何ですか?知らない」と慌てず、しっかり相談に乗ってあげて、専門職らしくアドバイスできるといいですね。
自立支援医療の詳細です。
・厚生労働省「自立支援医療制度の概要」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/gaiyo.html)2019年6月アクセス
体力の回復や意欲を取り戻し、その方らしい生活を目指して行う介護になります。従来型介護のような、支援を必要とする方が「なされるがまま」といった受け身の支援ではないのが特徴です。
では、自立支援介護のケアとは、具体的にどういうものかをみていきましょう。
ケアの基本は、生活するために必要な「水分・食事・排便・運動」の4つを軸に、認知症や失禁の改善、普通食を目指します。
人間が1日に必要とする水分1,500mlを目安にして、水分補給をしましょう。高齢になると気づかないうちに脱水をおこしている場合があり、こまめな水分摂取の習慣をサポートします。
ただ、糖尿病や心不全、経管栄養等は状況によって水分量を変える必要がでますので、この限りではありません。体重増加やむくみ、動機や息切れなどの狭心痛サインを見逃さず、体重測定の管理が重要です。
咀嚼や嚥下の改善をサポートしながら普通食を目指しましょう。食が細くなる高齢者にとって、食事は栄養補給の手段となり、すぐに介護食に頼ってしまいがちです。食事を美味しく、生活のよろこびのひとつにしていけるよう求められます。
できるだけ下剤をやめて自然排便を目指しましょう。先進的な取り組みの1つに、おむつゼロ運動があります。普通のパンツで生活ができるよう、ポータブルトイレからトイレへの移行をサポートしているケースです。
竹内孝仁教授(国際医療福祉大学大学院)が提唱したもので、実践する介護施設も全国に増えてきました。
離床をうながし、リハビリをして、ADL回復を目指しましょう。個別の状態に応じて、体操やトレーニングマシンなどを活用した機能訓練が求められます。
自立支援介護のあり方については、業界・職能団体を含め、活発な議論がかわされている状況です。とくに、2018年度の介護報酬改定で、“要介護度を改善させた事業所に、介護報酬を高くする”インセンティヴ措置についてはホットな話題ですね。
支援を必要とする人の自己選択や自己決定の尊重が、自立支援の根幹にありますが、インセンティヴ措置によって、利用者の意に反して「QOLを無視したADL回復の促進が盲目的に行われる」と危惧する声があがっています。
加齢による機能低下は自然現象であるにも関わらず、無理に栄養をつけさせ、リハビリを重ねて歩行器で歩かせるといった、自立を強いる偏った支援は“尊厳を守る”とはいえません。こうした議論を踏まえ、精査されて仕組みが構築されるので、今後も注視していくことが重要です。
「自立支援医療」は医療制度の話、「自立支援介護」は介護方針の話でした。用語を正しく理解して、利用者さんの相談や、スタッフ同士のスムーズな意思疎通ができるといいですね。
自立支援介護について、もっと詳しく知りたい方へおすすめのセミナーです。
詳細はこちら
【参考】
「介護サービスの質の評価・自立支援に向けた事業者へのインセンティヴ(参考資料)」
(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000175116.pdf) 2019年6月アクセス
]]>しかし現場においての業務は、専門の学習を終え国家試験に合格したとはいえなかなかすぐに知識が発揮できるかというと難しいものがあります。病院の規模や専門性、または配置される病棟により必要な知識や技術は違います。
また即戦力という点においても未熟な点は多く経験が必要な業務も数多くあります。そういう医療の現場において多くの病院はオリエンテーションや教育の期間をもうけ、現場で勤務するまでの導入時期として研修体制をもうけている機関が増えています。
1日も早く1人前のナースになるためには新人ナースとしてどのようなオリエンテーションや教育が必要なのでしょうか。病院側の目的や方法、また新人ナースの研修の取り組みについてご紹介させていただきます。
厚生労働省の新人看護職員研修ガイドラインの基本方針として
などがあげられています。これに基づいて各医療機関はそれぞれの新人ナースの教育制度を設けています。その多くは期間を設けて全体教育を行い、その後配属先での勤務という流れが一般的です。
不安な気持ちを抱えた新人ナース1人に対して経験のある先輩ナース(プリセプター)がマンツーマンで、ある一定の期間同じ勤務時間に教育や指導を行う方法です。未熟な技術はもちろん仕事をとおしてコミュニケーションや看護サービス・病院の特性や広範囲にわたって指導をする制度になります。
看護師としてスタートするにおいて、国家資格は得たもののすぐに即戦力とはなりにくいのが現状です。一般の会社でも入社後、1週間ほどは全体のオリエンテーションや接遇など基本的な指導が行われますが、病院も同じで、まずは病院の全体の施設を理解することから始めます。
検査室や外来・各病棟や配膳室・薬局など規模が大きくなるほど初めは難しく感じるものだと思います。基本的な研修を終えると病院によっては看護技術の基本的指導が始まります。検温・採血はもちろん、点滴操作や清潔操作など学校で習ってきたことの総復習を行います。その後、配属先の病棟への移動となります。
配属された病棟で出会うのがプリセプターの先輩ナースです。プリセプターとなるナースは2~4年目くらいのナースが一般的でワンツーマンの指導となることが多いのが一般的です。勤務も同じ時間帯で同じ患者を受け持ち対応していきます。
これらの業務をプリセプターと同行し業務を覚えていくようになります。
プリセプター以外のナースも指導やフォローは行いますが、プリセプターが主に指導にかかわり新人ナースの教育係として対応していきます。
配属されたばかりの時期はとにかく不安が大きい時期ですので、焦らずゆっくりと指導することが求められます。
一般的にはプリセプターとなる先輩ナースは年齢が近いということもあり、質問や不安を聞いてもらえるという安心感が生まれれば、良い関係が築いていけると思います。チェックリストがある病院などでは、できた技術や、逆にできなかったことなどをチェックし1年を通じて経験値を上げていくなど計画的に対応している病院もあります。
同じ部署に新人が多数いる場合は、新人同士のコミュニケーションの場や勉強する機会を設けることも大切です。同期という仲間意識を育て一緒に育てていくというスタンスで取り組むことがプリセプター自身の負担も軽減することでしょう。
医療が進歩しナースに求められる知識や技術も増えつつあります。新人ナースがまず職場になじみ、日常の業務ができるようになるまでにはかなりの月日がかかることでしょう。
しかし、全てのナースが通ってきた道であり育てる楽しみがあるのも事実です。期待や不安を抱えつつ勤務につく新人ナースに少しでも早く一人前になって欲しいのが本音ですが、焦らずじっくり取り組むことが大切です。
プリセプターを含め、全てのナースが新人ナースの成長を見守っていきたいものです。
]]>2005年日本医療機能評価機構事故防止センターの第 3 回報告書に報告されている『グリセリン浣腸における直腸穿孔』の事例が複数件あったことを受け、日本看護技術学会では、便秘に対するこれらの看護に対し、エビデンスを持って安全なスキルで実施できるよう、ガイドラインを作成しています。
今回は、その一部をご紹介したいと思います。
A.グリセリン浣腸施行により、高浸透圧のグリセリン液による化学的刺激を受け、直腸粘膜上皮の脱落や粘膜の浮腫が起こり、その回復には 24 時間必要であることが報告されています。このようなグリセリン液の化学的刺激による粘膜損傷に加え、摘便施行時に粘膜損傷を招く可能性を考慮すると、溶血や穿孔を招く危険性があるので、グリセリン浣腸と摘便を同時に行うことは避けた方がよいでしょう。
A.グリセリン浣腸実施後に気をつけておきたいサインは次のようなものがあります。これらのサインは、浣腸実施直後から数日後まで出現時間はさまざまです。もし、これらのサインが見られた場合には、グリセリン浣腸による有害事象の可能性を考えることも必要かもしれません。
また、有害事象は直腸粘膜の損傷によって引き起こされるものが多いといえます。グリセリン浣腸を実施する際は、粘膜を傷つけないよう留意することに加え、直腸粘膜が脆弱となっていないか(例えば、ステロイド剤服用中、下剤の常用、痔核、硬便、出血傾向など)を事前に確認しておくことは、グリセリン浣腸による有害事象のリスク因子を知るための大切なアセスメントといえるでしょう。
グリセリン浣腸実施による有害事象としては、大きく2つに分類できます。
1つは、グリセリン浣腸液(50%グリセリン)が直腸や肛門の血管内に移行することによる溶血、血尿、腎不全経過をたどる事象、もう1つはカテーテルによる直腸穿孔に起因したグリセリン浣腸液の後腹膜内貯留や便汁による感染性炎症です。
また、グリセリン浣腸の有害事象としては、血圧変動も挙げられます。
<グリセリン浣腸実施後に気をつけておきたいサイン>
■カテーテルによる粘膜損傷の兆候として■
下血や出血、肛門部・会陰部の疼痛(排便時の肛門痛を含む)
■溶血・腎機能障害の兆候として■
尿の混濁、血尿、尿量減少、無尿
■感染の兆候として■
肛門部・会陰部の腫脹、発赤、熱感、発熱、腹部膨満、腹部炎症症状(下腹部腹痛、触診による圧痛)
■血圧変動の兆候として■
気分不快、ふらつき、冷汗、顔面蒼白、脈拍数減少
■その他■
気分不快、悪寒、悪心・嘔吐など
A.グリセリン浣腸の実施について、2006 年 2 月に日本看護協会から緊急安全情報が通達されました。それは、立位でグルセリン浣腸を行うことによってカテーテルが直腸穿孔を起こし、糞便が腹腔内に広がり腹膜炎を起こすこと、直腸壁がカテーテルによって傷つけられ、グリセリンが血中に入り溶血を起こす事故報告があったことから、立位での実施が危険であるという内容でした(日本看護協会,2006)。基本的には、多くの看護技術の教科書、参考書には、患者を左側臥位にし、浣腸を実施することが記載されています。〜中略〜
立位前傾姿勢や中腰で行うと、患者の肛門部を看護者が観察することは困難で、カテーテル挿入の方向や長さの確認が不十分となる可能性があります。さらに立位のまま肛門管に添ってカテーテルを挿入した場合、ダグラス窩(女性の場合は、直腸子宮窩)に突き当り穿孔させる危険性も大きくなります。
また立位では、肛門括約筋が非常に強く締まり、無理にカテーテルを挿入することにより、静脈の豊富な直腸内壁を傷つけやすくなります。従って、これらの危険性を多く秘めている立位や中腰姿勢は避けなければなりません。
A.肛門管部を超えて肛門柱部から口側は、組織構造上から摩擦など物理的刺激に対し脆弱であり、かつ、直腸粘膜部に損傷がみられた事例が多くなっています。以上のことから、物理的刺激に弱い単層円柱上皮細胞の直腸粘膜へと移行する肛門縁から 5.0cm 以上の挿入を避け、かつグリセリン浣腸の保留を期待するならば、5.0cm 程度がカテーテル挿入の目安となると思われます。
A.看護学のテキストには、グリセリン注入後 3 分程度浣腸液を貯留させた後に排便するように記載されています。しかし臨床の場では、特に高齢者において我慢することが困難でベッド上で失禁するケースが多いことからトイレで実施することも少なからずあるのが現状です。このような状況下でグリセリン浣腸を実施したために有害事象(直腸穿孔)が報告され、2006 年に日本看護協会からグリセリン浣腸に関する緊急安全性情報が通達されました。
グリセリン浣腸後に排便を我慢する目的として、
①浣腸液が腸壁を刺激して蠕動運動を促進させるため
②浣腸液による便の軟化のため
と看護のテキストには記載されていますが(石井ら 2002,吉田ら 2005,深井ら 2006)、裏づけとなるデータは得られていません。
これらの作用に関する実証データを得るための基礎研究においては(中略)グリセリン浣腸後の排便までに要した平均時間は約 40 秒で、その後は断続的に排便作用が持続すること、便の軟化作用については、患者に我慢を強いている3 分程度では便は軟化しないことが報告されています。
貼用部の皮膚温が 4℃程度上昇し、2℃程度の上昇が 1 時間以上継続する刺激を与えられる方法であれば、どんな方法でも良いというのが、現在の到達点です(菱沼 2011)。熱布を用いた湿熱刺激、熱布をビニールで包んだ乾熱刺激、蒸気温熱シートが代表的な方法です。
当てる部位は腰部または腹部です。
・1 回のみ当てる方法
・毎日連続して当てる方法
があります。夏でも適用できるか、当てる時刻で効果に差があるかどうかは、まだわかっていません。
準備するもの:浴用タオル 3 枚、バスタオル 1 枚、バスタオル大のビニール 1 枚、
70℃程度の湯、家庭用ゴム手袋 2 組
① 浴用タオル 3 枚を 2 つ折り(30cm×40cm)にして 6 枚重ねにし、家庭用ゴム手袋を 2枚重ねてはめて、70℃程度の湯で絞ります。
② 絞ったタオルを空中で払い、施行者の前腕内側に当て、熱さを確認します。
③ ヤコビー線を中心にして腰背部に当てます(p4 図 1 参照)。この時、熱すぎないかどうかをよく確認します。体位は腹臥位または側臥位でできます。
④ 布をビニ-ル(家庭用ポリ袋を使うと扱いやすい)で覆い、その上にバスタオルをかけます。バスタオルをかけるとき、掌でしっかり押さえ、温タオルを皮膚に密着させます。シーツ、寝衣がぬれないよう、気をつけます。
⑤ 貼用時間は 10 分間です。
この方法では、タオルを当てられると熱いと感じ、このときのタオルの温度は 60℃程度ですが、その後急激に下がります。一方皮膚温は、7~8℃急激に上昇して、41.1~43.1℃になりますが、その後は皮膚温も下がっていきますので、これまで熱傷の報告はありません。
タオルを取り除いた後も、皮膚温は 2℃程度上がったままになっています(菱沼ら 1997)。
60℃の湯で絞った熱布をビニール袋にいれ、90 分仰臥位で腰の下に敷きこむ方法、側臥位で 10 分貼用する方法で(1)の変法として報告されています(久賀ら 2005; 丸山ら 2005)。
側臥位や腹臥位になれない場合、濡れたタオルでシーツや着衣を濡らさないために、工夫された方法です。
準備するもの:浴用タオル 2 枚、ビニール 1 枚、60℃の湯、家庭用ゴム手袋2組
① 浴用タオルを 4 つ折り(30cm×20cm)にして 8 枚重ねにし、家庭用ゴム手袋を 2 枚重ねてはめて、60℃の湯で絞ります。
② 絞ったタオルをビニール袋に入れ、空気を抜いて、当てます。
血液透析中にこの方法で 90 分腰の下に敷きこんだ場合、当ててから 15 分程度で、皮膚温が 4~5℃上昇します。その後、徐々に下がって行きますが、90 分後でも貼用前より 2℃高い状態が続きます(菱沼ら 2008)。
これは市販されているものです。
非透湿性のポリエチレンラミネート不織布と、透湿性のポリエチレンおよびポリエステルからなる不織布の間に、鉄、活性炭、食塩水、パルプからなるシート状の発熱体が入っており、空気にさらされることによって、鉄粉の酸化と加水で発熱が起こるものです(Oda, et al.2006)。
開発当初は縦 12cm×横 20cm の大きさのものでしたが、その後の研究で効果に差が無かったことから、現在は縦 8.5cm×横 17.8cm が販売されています。
このシートは酸化が始まって徐々に温度が上がり、表面温度が 40℃で 5 時間継続するように設定されています。皮膚温は 30 分程度をかけて 4~5℃上昇し、38~39℃が長時間持続します(Oda et al. 2006)。
当てる部位はヤコビー線を中心とした腰部または腹部になります。
1 回のみの貼用でも連日貼用でも効果が報告されています。
①消化管の穿孔や閉塞がある
②何らかの原因により出血傾向がある
③全身衰弱が激しい
④血圧の変動が激しい
以上に当てはまる人には温罨法は禁忌です(川島 1994)。
【引用文献】
便秘症状の緩和のための温罨法Q&A:日本看護技術学会
グリセリン浣腸 Q&A:日本看護技術学会
http://www.jsnas.jp/system/data/20160427225748_qrxys.pdf
]]>排便に関する看護を考えたとき、どのような看護を思い浮かべるでしょうか。
慢性便秘は女性に多いものとされてきました。しかし、平成25年度以降の国民健康調査を見ると60歳以上では徐々に男女差がなくなり,80歳ではむしろ男性が多いことが明らかになっています。また,便秘患者の大半は高齢者です。高齢者のQOLを考えていく上で、便秘に対する看護介入は不可欠なものとなってきています。
2017年、日本消化器病学会の慢性便秘の診断・治療研究会により作成されました。
ガイドラインでは、便秘症を次のように定義しました。
「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」
この定義では、体内に糞便が残っている状態、快適に排出できない状態という2つの要素があります。そして、毎日排便があっても、患者が残便感や不快感を示した場合には便秘症をして考え、治療の対象となると言うことになります。
治療には様々種類がありますが、その一つの内服療法について記します。
ガイドラインで内服療法として推奨しているものに「上皮機能変容薬」「浸透圧性下剤」があり、「刺激性下剤」は頓用で処方することが勧められています。
代表的な薬剤として、「上皮機能変容薬」のルビプロストン(商品名アミティーザ)、「浸透圧性下剤」の酸化マグネシウム,「刺激性下剤」のセンノサイドについて記します。
我が国で最も使われている緩下剤の1つです。便を軟化させ,硬便による排便困難症状が強い場合には有用です。腎不全患者や高齢者では投与中の血中マグネシウム上昇が報告されているため、投与中は血清マグネシウム値の測定が必要と言われています。
適正使用が肝心で,1日2 g以内に抑えなければならないこと、また,骨粗鬆症の薬との併用は難溶性のキレートを生成し薬剤の吸収を阻害することが報告されています。
また酸化マグネシウムは胃酸と膵液で活性化する必要があるため、プロトンポンプ阻害薬など胃酸分泌抑制薬を内服している場合や胃切除後では効果は低下することが報告されています。
近年登場した新薬で、小腸で腸液の分泌を促進させることで排便を促す,新しい機序の分泌型便秘薬です。プロスタグランジン製剤であるため,妊婦では禁忌となります。
併用禁忌や注意薬はなく、長期連用しても電解質異常を来たすこともなく,腎機能異常患者にも安心して使えるとされています。主な副作用は嘔気と下痢で、嘔気は,投与量の減量,服薬タイミングを食事直後にすると軽減されるとされています。
センノサイドなどのアントラキノン系下剤の作用機序は,腸管の筋間神経叢を強力に刺激するとされていますが,その詳細はあまりよくわかっていません。作用は極めて強力で,ときに強い腹痛とともに激しい下痢となることが多く、作用が強力なゆえに,薬剤耐性,精神的依存性,習慣性,便秘の消失などの問題点があります。ガイドラインでは必要なときに頓用での使用が勧められています。
1:強い推奨 2:弱い推奨
エビデンスA~D:「質の高い」「中程度」「質の低い」「非常に質の低い」エビデンス
|
種類 |
一般名 |
推奨度 |
エビデンス |
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プロバイオティクス |
− |
2 |
B |
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膨張性下剤 |
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|
|
カルボキシメチルセルロース |
2 |
C |
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ポリカルポフィルカルシウム |
|||
|
浸透圧性下剤 |
|||
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a塩類下剤 |
酸化マグネシウム |
1 |
A |
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クエン酸マグネシウム |
|||
|
水酸化マグネシウム |
|||
|
硫酸マグネシウムなど |
|||
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b糖類下剤 |
ラクツロース |
||
|
Dソルビトール |
|||
|
ラクチトールなど |
|||
|
c浸潤性下痢 |
ジオクチルソジウムスルホサクシネート |
||
|
刺激性下痢 |
|||
|
a アントラキノン系 |
センノシド |
2 |
B |
|
センナ |
|||
|
アロエ など |
|||
|
bジフェニール系 |
ビサコジル |
||
|
ピコスルファートナトリウムなど |
|||
|
上皮機能変容薬 |
|||
|
aクロライドチャネルアクチベーター |
ルビプロストン |
1 |
A |
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Bグアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト |
リナクロチド |
||
|
消化管運動賦活薬 |
|||
|
5−HT4受容体刺激薬 |
モサプリド |
2 |
A |
|
漢方薬 |
大黄甘草湯 |
2 |
C |
|
麻子仁丸 |
|||
|
大建中湯 など |
|||
人は座った姿勢になると恥骨直腸筋が引っ張られ、肛門もしまっているため便を通さないようになっています。排便の際は肛門が1センチ下がって恥骨腸骨筋が緩むのが正常の動きとなるので、ロダンの『考える人』のようなポーズを取ると排便し易いと言われています。
便の性状を図るスケールに『ブリストルスケール』があります。
欧米人の場合、ブリストルスケール3〜5が正常とされますが、アジア人特に日本人は熟したバナナ型と言われるスケール4しか正常に感じないのだそうです。
スケール4の便がスムーズに出ることが完全排便ということになります。
ブリストールスケール4を目ざして、薬剤を調整したり姿勢の指導をしていくことが患者の満足感の向上につながっていきます。
【引用参考文献】
国内初の便秘症ガイドラインを読む:日経メディカル2018年1月号
中島淳:慢性便秘の診断と治療.日本内科学会雑誌 105 巻 3 号:平成 27 年度日本内科学会生涯教育講演会
]]>「ねえ、先生。僕入院して初めて気づいたんだけど、子どもって学校がないと何もすることないんだよね。」
「入院してから誰とも話さない日が続いた。しばらくして分教室(院内学級)には色々な病気で頑張っている友達がいて自分だけじゃないとわかって安心した。」
「やっと退院。うれしい。学校に行ってみんなと遊びたいけど一緒に遊んでくれるかな。みんなに会うの恥ずかしいな。」
これは院内学級に通う子どもたちの声です。
皆さんはこれを読んでどのような事を感じられましたか?
H26 文部科学省 学校基本調査によると、
小・中学校の「長期欠席」している子どもは、約18万5千人
そのうち、約3万7000人(約20%)は「病気」による欠席
「その他」をあわせると約6万人(約33%)に上ることが明らかになっています。
病気だから、学校を休むのは当たり前なのでしょうか・・・?
子どもは教育を受ける権利を法律によって保障されています。
憲法 第26条では
「教育を受ける権利」
「教育を受けさせる義務」として掲げられています。
子どもの権利条約 第28条 の条文では
子どもには教育を受ける権利があります。
国はすべての子どもが小学校に行けるようにしなければなりません。
さらに上の学校に進みたいときには、みんなにそのチャンスが与えられなければなりません。
学校のきまりは、人はだれでも人間として大切にされるという考え方からはずれるものであってはなりません。
とされています。
皆さんは院内学級という言葉を聞いたことはありますか?
小・中学校の病院内の「病弱・身体虚弱特別支援学級」のことを言います。
・「病弱」とは慢性疾患等のため継続して医療や生活規制を必要とする状態
・「身体虚弱」とは病気にかかりやすいため継続して生活規制を必要とする状態
を言いますが、院内学級はそうした子どもたちの教育を支える病院の中にある学校です。
2008年頃には、日テレ系のドラマ「赤鼻のセンセイ」としてドラマ化や、NHKのプロフェッショナルでも取り上げられていますのでご存知の方も多いのではないでしょうか。
昭和大学病院の「さいかち学級」の副島先生という方がモデルとなった実話に基づいています。
副島先生は院内学級の目的を次のように話されています。
「大人たちは親切心から、『焦る必要はない。元気になってからまた勉強すればいいよ』と言います。
でも僕は、元気でなければ勉強しちゃいけないのかと言いたい。
病気の子ども達は、親やきょうだいに心配や迷惑をかけていることを気にして、自分のことをダメな人間だとか、役に立たない存在と考えがちです。
しかし、決してそんなことはない。入院中でも楽しい時間は過ごせるし、新しいことに挑戦することもできます。学習を通して、子どもたちにそのことを経験してもらいたいのです。」
因みに、新潟市内には3つの小学校と中学校が医療機関に設置されています。
授業は、各市の教育委員会が決めた時間割を基にして行われます。年間スケジュールも
地域にある学校と同様に行われます。始業式・終業式、入学式・卒業式も行われますし、
授業参観もあります。
授業は子どもたちの体調に合わせてベッドサイドで行われることもあり、臨機応変に対応していきます。
名古屋大病院の院内学級(大府特別支援学校提供)<2015.5.21 中日新聞より>
冒頭に述べたように、療養中であっても子どもの教育を受ける機会を保証することを意識して関わることがとても大切です。
具体的に見ていきましょう
1)子どもの当日の体調・予定(安静度、前日の状態、治療検査予定など)を教員へ申し送り
子どもの状況にあった学習内容の調整をする。
2) 学習予定時間を確認し、治療や看護ケアの時間を調整する。
教育が行われる時間帯にはなるべく医療処置やケアを入れないことが大切!
3) 緊急時への対応
現在の治療や子どもの状態から、どのようなことが起こり得ることを予測し、対応を的確に伝える
4) 院内学級での子どもの様子を共有する。
1) 朝の準備(更衣・食事・清潔・内服・登校準備など)
登校時間に間に合うように準備を行う。
2) 学習が中断せずに集中できるような環境調整
輸液ポンプの充電の確認、授業時間内に輸液が終了しないか、酸素の延長チューブの緩み、ナースコールの確認など
3) ベッドサイドで行う場合にも同様に学習に向けた環境整備を行う。
4) 院内学級以外での学習環境の確保(特に中・高校生)
子ども、家族(保護者や兄弟)の病気の理解、治療予定、生じる可能性のある副作用など身体症状とその対応、安静度、子どもの発達、性格、興味、得意なこと、心理社会的課題の有無などを多職種で定期的に情報共有を行います。
子どもは退院をすると、前籍校に復学するため、前籍校での病名など個人情報の取り扱い/クラス友人への配慮、学習状況/学習への配慮、教職員(養護教諭、担任、学校長)の理解状況などを確認し、子どもが困惑しないよう配慮していくことはとても重要となります。
そして、各機関(特に前籍校)の担当者と連絡方法、学級通信等の受け渡し方法等、入院している子どもと前籍校の繋がりを確保し続けることが重要です。
長期入院を要する子ども達が、「自分を待ってくれている友達がいる」「退院したら、またみんなと同じ学校に行ける」と社会的な繋がりを意識できることは、自己肯定感・闘病意欲の継続に大きく関与しています。入院中から復学することを意識し、支援体制を整えていきましょう。
【引用参考文献】
文部科学省:H26 文部科学省 学校基本調査
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/08/attach/1350731.htm
NHK:プロフェッショナル 仕事の流儀 2011年 1月24日放送
涙も笑いも、力になる 院内学級教師 副島賢和
http://www.nhk.or.jp/professional/2011/0124/index.html
へるす出版:小児看護 2016年10月号
子どもの発達を支える病院内での教育支援・復学支援
独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所:病気の児童生徒への特別支援教育~病気の子どもの理解のために~
https://www.nise.go.jp/portal/elearn/shiryou/byoujyaku/supportbooklet.html
]]>「アドナ70㎎をゆっくり静注して下さい」と医師より指示が出ました。
アドナ1Aは100㎎/20mlです。
あなたは、何ml注射器に吸い上げますか?
液状の注射薬の規格には「△mg/〇ml」というような表示がされています。
△は主薬の薬効成分の量です。
主薬の量の単位としては、「㎎」が最も多いのですが、
薬剤の中には「μg」(マイクログラム=1/1000㎎)や「IU」、
一方カリウム製剤などの電解質の注射薬では、「mEq」 という単位が使われています。
〇mlは、薬効成分を溶かしている溶液の量です。
なので、上記のアドナ1Aでは、主薬が100㎎を20mlの溶液で溶かしているという意味になります。
医師は注射薬のほとんどを薬効成分である主薬の量で指示をします。
看護師は、注射準備時には溶液として取り出さなければならないので意味をしっかり理解することが必要です。
粉末状の注射薬は主薬の薬効成分量のみの記載となります。
問題の答えは、次のような計算式で算出することができます。
20ml×70㎎/100㎎=14ml → アドナ70㎎=14mlを静注する
主薬の量の単位として一般的なのは「㎎」ですが、
中には「㎍」(マイクログラム=1/1000㎎)という小さな単位を使用するものもあります。
カリウム製剤などの電解質の注射薬では「mEq」という単位が使用されています。
電解質とは水に溶かしたときに電離してイオン(電気を帯びた原子)を生じる物質のことです。「mEq」はメックと呼び、milliequivalent(ミリグラム当量)のことです。
これは電解質液中のイオン(電気を帯びた原子)の電価を表す単位です。
「単位」あるいは「U」(Unit=単位)、「国際単位」あるいは「IU」(International Unit=国際単位)もあります。
「単位」「U」はともに「国際単位」を略したものです。
国際単位は生物製剤(生きている細胞が産生したタンパクから製造した薬剤のこと)を標準化するためにWHOが定義した生物学的力価の単位のことです。
代表的な生物製剤としてはインスリンがあります。
インスリンは「1ml=100単位」に調整されています。
ときに新人看護師は「単位」とつく薬剤の全てが「1ml=100単位」と誤解してしまうことがあります。
ヘパリンは「1ml=1000単位」であるように、それぞれの薬剤で1mlあたりの単位数は異なります。
液量に換算する際に必ず規格を確認するようにしましょう。
Naの原子量は23なので、1mEqのナトリウムイオン(Na+)は23㎎です。
またKの原子量は39なので、1mEqのカリウムイオン(K+)は39㎎です。
Clの原子量は35.5なので、1mEqのクロールイオン(Cl⁻)は35.5㎎です。
つまり、原子量によって1mEqあたりの㎎量は異なります。
したがって1mEqの Na++ Cl⁻からなる食塩(NaCl)は23㎎+35.5㎎=58.5㎎になります。
1g(1000㎎)の食塩水に含まれるNa+は何mEqかというと、1000㎎/58.5㎎=17.1となり、約17mEqとなります。
現在、電子カルテ化が進み、オーダリングシステムの入力間違いによる投与量の事故が増えてきています。
医療事故情報収集等事業 第36 回報告書による、実際に起きた15の事例と背景要因を見てみましょう。
事例が発生した医療機関の改善策としては以下のような対策がとられています。
・院内では、散剤の入力は「g」表示であることを医局会で再通知する。
・インスリンを処方する際は、「mL」ではなく「単位」で処方する。
・フラグミン静注を処方する際は、「単位」数でオーダする・・・など
・インスリン製剤は「mL」による入力ができないよう薬剤オーダのマスタを変更した。
・ワルファリンの細粒薬は計算が複雑で投与事故が起こりやすいため、「ワルファリンK細粒0.2%」は電子カルテの投与リストから外すことにした。
・ 「100V」などの通常使用しない量の登録が電子カルテのシステム上で制御できないか検討・・・など。
・処方を確定する前に処方内容を確認する。
・化学療法の新規薬剤開始時に内服用量決定時には、他の医師とダブルチェックを行う。
・チェック体制の強化(共診する医師とのダブルチェック、看護師とダブルチェック、薬剤師とダブルチェック)・・・など
・疑義照会に対し、医師は真摯に受け止め、処方内容を再確認する・・・など。
・オーダリングシステムの有効な利用や単位の統一について、院内で十分な周知、教育など
「入力の際、画面表示される単位を確認する」
「単位間違いが起りやすいことを認識し、処方監査を強化する」ことが重要なのです。
医療事故情報収集等事業 第36 回報告書
http://www.med-safe.jp/pdf/report_2013_4_R003.pdf
川村治子:医療安全ワークブック
]]>この管理をするときに看護師としての知識が求められて、退院するときには心臓を長く持たせられるように指導することが重要な看護となります。
加齢や生活習慣によって動脈硬化が進行し、冠動脈にできていたプラークが破たんして冠動脈を完全に閉塞してしまうと、心筋に血液が完全に行かなくなり、心筋が壊死してしまった状態が心筋梗塞です。
症状には、胸が重苦しい、胸部圧迫感、締め付けられるようにな感覚、冷や汗、悪心・嘔吐があったりします。このような症状が長くつづき、10分以上、ときには数時間も続くこともあります。狭心症も似たような症状がありますが、症状は心筋梗塞よりも軽いことが多く痛みは強烈な痛みだといわれています。
ニトロ舌下錠を内服しても、狭心症のときほど、有効ではありません。
ただし、無痛性心筋梗塞といって、痛みの発作がなく、いつの間にか心筋梗塞になっている場合もあります。多くの場合は、心不全状態となってはじめて気付かれています。
左主幹部の梗塞を起こすと死亡率が非常に高くなります。
内科的治療法には、冠動脈内で詰まった血栓を血栓溶解薬(t-PAなど)を静注して溶かす治療法や、風船(バルーン)が先についた細い管(カテーテル)を血管内に入れて、詰まった部分をバルーンで拡げたり、その後、再び閉塞するのを防ぐためにステントと呼ばれる筒状の金網を血管内に留置するインターベンション治療(PCI)があります。
最近は、ステントにも改良が加えられ、ステントに薬を塗って血管の再狭窄を防ぐDES(薬剤溶出性ステント)と呼ばれるものがあります。
複数箇所の閉塞や根本であるところが閉塞している場合は外科的治療で、別の血管を使って詰まった血管部位を回避する道を作る冠動脈バイパス術(CABG)があります。
心筋梗塞となると心臓の血液を送り出す働きが十分ではなくなるために、労作時には血液の循環不足の影響で、息切れやめまいなどの症状がみられるようになります。また、浮腫を生じるのは、心臓の働きが不十分で末梢血管の血液が心臓に戻る力が弱くなり、血液がうっ滞するためです。腎臓への負荷も減るために尿の排出が悪くなります。
心筋梗塞後の心不全は、心不全の病態のなかで特に多く、心筋の壊死の範囲が大きければおきいほどに、ポンプの役割を果たせずに、全身への血液循環をできなく心不全状態となります。
高齢者や糖尿病患者の方に多くみられる傾向があります。心筋梗塞が発症しているが、気がつかないでいて心不全になってから呼吸苦や息切れ、胸部違和感などで病院を受診してから気づくことがあります。無痛性虚血性心疾患の一つのタイプです。
治療にあたっては、PCIなどの再灌流方法を基本として、心不全症状に対しての対症療法が中心治療になります。心臓への負荷を軽くするために、動脈拡張薬を用いて動脈の抵抗を少なくすることで血液を送り出す負担を軽くしたり、静脈拡張薬や利尿薬を用いて心臓に戻る血液量を減らして負担を軽くしたります。利尿薬には浮腫を除く効果も期待できます。交感神経遮断薬は心不全時の自律神経の過剰な反応を落ち着かせられる効果もあると考えられます。
心筋梗塞は早朝から午前中に起きやすいです。これは、睡眠中に水分摂取することができないために経度の脱水症状で血栓ができやすい状態であることや血液凝固因子が多く発生しやすく、血圧が低い状態から動くことで血圧上昇することによる影響であると考えられています。
①問診:主訴、アレルギー、既往歴、家族からの情報は意最低限必要です。
②身体所見:意識レベル、下肢の浮腫、排尿、発熱
視診:顔面:顔色、チアノーゼ、呼吸、頸静脈の怒張
触診:脈拍、左右の脈圧差
聴診:心雑音、肺雑音(心エコーで重症度が判断できる)
③心電図:心筋梗塞時に大まかな閉塞部位を確認することができる
④胸部X線:心不全が合併していないか。大動脈解離がなどの合併症がないか。
⑤心エコー:左室収縮機能、僧帽弁、心室中隔穿孔、心破裂、心タンポナーデ、動脈かい離などの合併症がないかの判断
⑥血液検査:心筋マーカー、腎機能
①硝酸薬:血管の拡張作用(側副路の血流増加で虚血心筋への血流改善)
*血圧の低下、徐脈の可能性があり注意が必要
②アスピリン・モルヒネ塩酸塩:再梗塞予防、疼痛による血管収縮や疼痛を改善する目的でモルヒネ投与。
③β遮断薬:心拍数、血圧、心筋収縮性の減少、不整脈の予防をし、心機能を保護します。
④スタチン系薬剤:コレステロールの合成を阻害することで冠動脈の炎症を抑制することができるといわれています。
⑤Ca拮抗薬:β遮断薬が禁忌の場合に使用することがある薬剤。
⑥ACE阻害薬:左室利モデリング抑制、神経体液性因子の抑制、プラークの安定化
検査や手術、情報集のときには、必ず他チームとの関わり合いがあります。その時に中心になって動くのが看護師です。
放射線技師、臨床工学士、臨床検査技師、薬剤師、MSWなどの多職種を入院時から調整しながら看護していく必要があります。この職種の方々が接触する時もほとんどの場合は、看護師が付き添いします。検査がしやすい体位を整えたり、きつい中で行うことにたいしての患者さんへの身体的安楽、心理的支援が必要となります。
心臓=命となり、心筋梗塞は重大な疾患であり。患者さんだけではなく周りの身内も大きな不安を抱えています。患者さんや家族に対して、何の検査なのか、何の処置をしようとしているのかなどの細かい声掛けは患者さんや家族の不安を軽減する大切な言葉です。
心筋梗塞は、6時間以内に40%、病院に6時間以内に到着しても10%程度の死亡率があります。病院で治療してから予後予測を把握することは、合併症の避けるために必要な知識です。また、患者さん本人に重い現実を受け止めてもらい治療に積極的に介入してもらう一つの手段となります。
①TIMIリスクコア(有名なスコア)
②Dynamic TIMI リスクスコア
発症から24時間以上経過した心筋梗塞の場合は、心筋壊死が一通り落ち着いています。その場合は、緊急の再灌流療法は行われることはないです。心不全になることで来院することが多く予後因子が不良となります。
動脈を穿刺してきてカテ室で止血されてくるか止血バンドを使用して来ることがあります。止血バンドの圧迫で痺れやうっ血などがないが確認していく必要があります。また、止血バンドを外した時には、うっ血の有無や出血、仮性動脈瘤ができていないかみていく必要があります。これが、鼠径部や上腕動脈の場合は圧迫帯との隙間ができやすいので関節可動域の制限をシーネや抑制帯で制限する必要があります。
左室筋が20%の壊死で心不全、40%で心原性ショックになると言われています。肺うっ血が起こりやすく重症になるとピンク色の泡沫状痰がみられます。
このような、重症度のKillip(キリップ)分類で表されます。
心筋梗塞で心室中隔がもろくなるために破けてしまう減少です。肺循環血液量が増加する為にこれも肺うっ血になります。
自由壁破裂と呼ばれるもので、これも壁がもろくなった為におきます。頻度としては、6%未満です。梗塞発症から24時間以内と3~5日以内に起きる事が多いです。
初回心筋梗塞、前壁梗塞、高齢女性に多く見られます。血圧管理が非常に大切で、140mmHg未満に血圧をコントロールすることが大切です。
VF,VTが12時間以降に起きやすく致死性不整脈なので非常に注意が必要です。抗不整脈の使用や電気的除細動器が必要になります。
PCIやCABGなどの術後になると比較的状態が落ち着いてきて食事、清潔、排泄、睡眠などへ興味が向き始めます。
社会復帰に向けた食事指導をしながら徐々に常食へと戻していきます。食事をすることで腸管が活発となり便が動きますが、力を入れ過ぎると心不全になることも多くあるので硬便にならない為の排便コントロールは非常に大切です。
また、睡眠が取れないことは心理状態によくないことが多くあり、血管の収縮をきたすこともあったり、血圧の変動が激しくなるなど心理面だけではなく身体面でも影響がでますので積極的に睡眠ができる環境を整える必要があります。
患者さんの配偶者や近い身内のかたの病識を理解することは大切なことです。回復期に向けて心臓リハビリテーションや禁煙、生活習慣の改善は、動機づけることが大切ですので周りの方を巻き込んで行っていく必要があります。
飲酒は、冠動脈疾患のリスクを下げるといわれていますが、過度の飲酒は、高血圧を招きますので注意が必要です。また、飲酒につきものの酒の肴は、塩分が高く高カロリーのものがおおいので注意が必要です。
体重管理
BMI以上の方を調査すると意識的にダイエットを行なうと優位に死亡率の減少があった報告があります。生活習慣の改善で体重は減少していきますので体重管理は、予後を良くするためにも管理していく必要があります。
血圧の変動や脈拍の異常を早期に発見することは、心臓の異常を発見するのにとても有効な手段の一つです。
安静時の状態を知っていると運動の目安を知ることができます。大体は、脈拍で安静時の40回/分以上か120回/分以上だと心負荷がかかりすぎていることがあるために注意が必要です。しかし、心筋梗塞の重症度で運動にほとんど制限がかからない場合はあるので心機能の程度をみて主治医と相談する必要があります。
心リハは、生命予後を改善する一つの因子になります。
心リハを行なうことで、心筋灌流の改善、動脈硬化の改善や血圧を下げる効果があるので、積極的に患者さんに行っていく必要があります。
看護師は、入院から退院まで心筋梗塞の患者さんをもつと非常に大切な役割を果たすことになります。看護師がしっかりとした知識を持っていることで生命予後が伸びることがわかっています。適切なケアは、患者さんを安心させ、コンプライアンスの向上に繋がり、家族の協力を得ることができます。包括的に接することが心筋梗塞の患者さんには大切なのです。
]]>
基本的には個室隔離を行います。
同一微生物の感染であれば、同室入院も可能と言われていますが、その際もそれぞれの患者で予防策を遵守し、他の微生物の水平感染に注意することが必要です。
おむつ交換は日常では頻繁に行われるケアの一つです。
ケアに携わる誰しもが環境や自身への暴露を最小限にする手技が求められます。
各施設のマニュアルがあるかとは思いますが、基本的な手順を載せますので参考にしてみて下さい。
①必要物品を準備する(手指消毒剤、おむつ、エプロン、マスク、お尻ふき、ビニール袋大・小各1枚)
②入室時からビニールエプロン・未滅菌手袋・マスクを装着し、ベッド柵を下げる
③必要物品は患者の近くに準備する。ビニール袋は2枚とも口を開け、お尻ふきは必要枚数を出しておく
④衣類を脱がせる
⑤新しいおむつを汚れたおむつの下に敷く
⑥汚れた部分をお尻拭きで前から後ろに向かって拭く
⑦お尻拭きはビニール袋(小)に廃棄する
⑧汚染したおむつを外し、もう一つのビニール袋(大)に廃棄する
⑨未滅菌手袋を外し、お尻拭きを廃棄したビニール袋(小)に廃棄する
⑩皮膚状態を観察し新しいおむつを着け、寝衣を整える
⑪ビニールエプロンを外し、ビニール袋(小)に入れ各々の袋の口を閉める
⑫廃棄するおむつを持ち、ベッド柵を上げる
⑬感染ごみとしておむつは室内に設置した蓋つきの廃棄物箱に廃棄する。
⑭マスクも外し廃棄物箱に廃棄する(マスクの外側は触れない!)流水と石鹸による手洗いを実施する
患者に直接触れる予定がなくても、ベッド周囲は汚染されている可能性が高いエリアとして考え、入室時からエプロン・手袋を着用することが必要です。
一連の手技の中で、いつ行えばよいか迷うのが手袋・エプロンを外すタイミングです。
清潔なもの、不潔なものが接触しないことを念頭に行いましょう。
また、施設によっては未滅菌手袋を二重にはめ、行うところもあるようです。
しかし、未滅菌手袋には目に見えない細かな穴が開いているため、ケア後の手指衛生は必須です。
ノロウイルスは、アルコールは効果がありませんので、必ず流水と石鹸による手洗いを実施しましょう。
嘔吐はいつどこで起きるかわかりません。流行時期に嘔吐があった場合には、感染性として対応します。処理が終わるまでは嘔吐のあったエリアには誰も入らないようにしておくべきですが、不可能であればできる限り遠くに離してください。3 m以内には近づかないことが大切です。
*次亜塩素酸ナトリウム(塩素系消毒剤)は濃度が200 ppmでは5分間、1000 ppmでは1分間程度浸すことによって、ノロウイルスをほぼ死滅させる消毒効果があると言われています。
家庭用塩素系漂白剤であれば、200倍に薄めると200ppmとなります。
嘔吐物や便に汚染した衣類やリネン類の処理
そのまま洗濯機で他の衣類と一緒に洗うと、ノロウイルスが洗濯槽内に付着するだけでなく、他の衣類にも付着してしまうので、マスク・手袋・エプロンを装着し、バケツ・たらいなどで、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いします。その際にしぶきを吸い込まないように注意してください。
下洗いしたリネン類の消毒は、85度の熱湯で1分間以上、洗濯します。
熱湯による洗濯が行えない場合には、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度 約200ppm)の消毒が有効です。(ただし衣類は脱色してしまいます)十分すすぎ、高温の乾燥機などを使用すると殺菌効果は高まります。
布団などすぐに洗濯できない場合は、よく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的です。
下洗いをした場所は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度 約200ppm)消毒液、洗剤を使って掃除をします。
幼稚園、保育施設、学校等では不用意に衣類を洗浄することによって、かえって施設内に大量に感染者を増加させてしまった例がこれまでしばしば認められてきました。原則的に、子どもたちの嘔吐物や下痢便が付着した衣類は洗浄せずにそのままビニール袋に入れて密封し、保護者の方に持って帰ってもらうことをお勧めします。
環境整備
高頻度に接触するドアノブ、ベッド柵、ナースコール、床頭台、オーバーテーブル、ベッドサイドの医療機器は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度 約200ppm)で1回/日以上丁寧に清拭洗浄を行いましょう。
施設内では、可能な限り聴診器・血圧計・ケア物品は専用のものを用い、共有は避けます。子どもの場合には、玩具の貸し借りは避け、出きれな清拭・消毒できるものを選択しましょう。
アウトブレイクし院内感染を起こした場合、その損失は1000万円にものぼったという報告もあります。
感染から守ることは経営上においてもとても重要ですね。
そのためには、平常時からのシュミレーションを行い、混乱なく対応できる体制つくりが望まれます。
【引用・参考文献】
1)厚生労働省:ノロウイルスに関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/dl/040204-1.pdf
2)国立感染症研究所感染症情報センター:ノロウイルス
http://idsc.nih.go.jp/disease/norovirus/index.html
3)厚生労働省:高齢者介護施設における感染対策マニュアル
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/index.html
4)田村英一郎:ノロウイルス感染症.小児看護36(1):23-26,2013
5)工藤真理恵:病棟における感染対策の実際 感染性胃腸炎対策.小児看護36(1):72-79,2013
6)美島路恵:アウトブレイク発生!どのように対応する?!.小児看護36(1):86-91,2013
]]>