「スキンテア」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?
「スキンケア」ではありません。「スキン”テア”」(Skin Tear)です。
「摩擦・ずれによって皮膚が裂けたり、剥がれたりする真皮深層までの皮膚損傷(部分層損傷)」のことを言います。
褥瘡とは異なり、まだ社会的に周知されていないため、時に“虐待”と間違われることがあります。
この2つの違いは原因と創の深さにあります。
「褥瘡」は持続的な圧迫とずれが原因で起こり、虚血性の障害であるため、壊死に陥ると骨まで深達することがあります。
「スキンテア」は一過性に強い外力が加わって発生する皮膚の裂傷で、原因は摩擦で起こり、創の深さは真皮深層までと浅いことが多いのです。
現在、全国・施設単位で様々な予備調査が行われており、スキンテアの傾向が少しずつ明らかになってきています。
発生時の状況をみると、医療用テープ剥離時が最も多く、車いす移乗時・体位交換・寝衣交換の身体支持、ベッド柵や車いすにぶつかる、転倒、寝衣・おむつ・点滴ルートによる擦れ、駆血帯使用時の摩擦などがあり、浮腫による皮膚の脆弱性も起因しています。
これらから、スキンテアはある程度、医療者のケアにより軽減できるものであることがわかります。柵にぶつけてスキンテアが発生している場合、「腕がだるいから」「肩が痛いから」ということが理由で、ポジショニングを検討後スキンテアが減った事例や、発話ができない方が「看護師を呼ぼうと思っていた」という事例もあります。
スキンテアも、他の疾患と同じように「なぜ起こるのか」という視点を持ってケアに取り組むことが大切です。
スキンテアが発生した時の対応、予防は具体的にどのようにすればよいのでしょうか?
現在、エビデンスを集積している最中で、まだケアとして確立されているものはありません。しかし、これまでの実践から、以下のようなことが推奨されています。
①出血を止める
血腫はコットン等を使用し丁寧に除去する
②皮弁を戻す
皮弁が食い込んでいるような場合は、生理食塩水を含ませたガーゼなどで柔らかくして戻す
③創周囲の皮膚を評価して適切なドレッシング材を選択する
④出血がなければ、頻回なドレッシング交換はしない。
⑤出血を伴っている場合は、創に固着せず、止血効果の得られるドレッシング材を使用する。
①ケア提供者が傷害を与えないようにする
②1日2回の保湿剤を塗布する
③皮膚保護材を用いる
④皮膚を摩擦から保護する
⑤水分を取ってもらう
塗布量の目安は、1FTU(1finger-tip-unit)で表されます。
チューブタイプであれば、人差し指の第1関節のところまで(約20~30mm) 、ローション剤であれば、手のひらに1円玉大が手のひら全体に塗る量に相当します。
各部位の塗布量は、
顔面・頸部→2.5FTU
片手両面→1FTU
片足→2FTU
上肢(手を除く)→3FTU
下肢(足を除く)→6FTU
胸と腹→7FTU
背と尻→7FTU です。
塗布した部位にティッシュを付着させて落ちない程度が適量です。
少なければ、薬剤の効力は発揮されません。塗布量は重要なポイントとなります。
また保湿剤を塗布するというケアは、思いの他、時間を要する印象がありますが、1回のケアに要する時間は「1分8秒」それを1日2回です。ケア提供者がタッチングすることで、認知症の患者さまが落ち着かれたという効果も報告されています。
ぜひ日々のケアに取り入れていただきたいと思います。
しかし、スキンテアはいくらベストなケアをしていても必ず予防でいるとは限らず、何をしても起こってしまう場合があります。
スキンテアが発生したことを責めるのではなく、エビデンスをもって最善の方法で速やかに治療すること、予防教育を再度検討することが重要です。
いま知っておきたい!「スキンテア(皮膚裂傷)」の最新情報:Expert Nurse 31(7) 2015
褥瘡ケア 認定看護師があなたの疑問をズバリ解決!:ナース専科35(7) 2015
スキンケアの技を極める!上達のコツを伝授!:ナース専科34(1) 2014
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