もし脳神経外科に配属になり、何を勉強していけばいいのか不安で困っている方必見です。
実際に脳神経外科病棟で勤務していたから言える、これだけは知っておきたい脳神経外科の基本的看護技術や知識をご紹介します。
脳神経外科では意識レベルの判定はよく行います。脳疾患により、軽度の意識障害から重度の意識障害を生じることが多々あります。その都度、経時的な変化を客観的に評価し、病状を誰でも把握できる指標が必要であり、よく使われるのがジャパン・コーマ・スケール(JCS)とグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)があります。救急医療の現場でもよく使用されますが、脳神経外科病棟での日々の観察でも活用し、看護記録に記したり、他者に申し送りする時に活用することで情報を共有し、病状を誰でも把握できるのです。
特に急変時に覚えていないと、 とっさに判断できず慌ててしまったり、正確な意識レベルの確認ができなくなってしまいます。そのため、脳神経外科で働く上で必ずと言っていいほど覚えておくべき基本中の基本なのです。
JCSは簡便で状態を見てすぐさま意識レベルを評価できるようになっていて、緊急時に用いることが多いです。ただ、判定に評者間のばらつきがあると言われています。
GCSは複雑で意識レベルの判定に時間がかかりますが、評者間での一致率は高いと言われています。
脳神経外科では脳腫瘍、くも膜下出血、硬膜下血腫、水頭症などの疾患が、病状の悪化で脳浮腫や脳腫脹をきたし頭蓋内圧が上昇するリスクがあります。これは本当に恐ろしく、さらに悪化すると重篤な脳ヘルニアを起こし、脳幹を圧迫するため生命維持が困難になる危険があります。
早期発見のために頭蓋内圧亢進症状について観察するのも脳神経外科看護の基本だと思います。
慢性症状は頭痛・悪心・嘔吐・視力障害や神経症状があり、意識清明なことが多いです。しかし、急性症状だと激しい頭痛や嘔吐、意識障害やクッシング症状(徐脈・血圧上昇)・瞳孔不同・けいれん・神経症状の悪化などが出現するため慢性症状がある場合は病状の悪化がないか日々観察を行い、急変時には疾患を踏まえ、頭蓋内圧亢進症状の可能性を考慮し症状の観察をする必要があります。
これらのことを踏まえて観察ポイントをまとめてみました。
特に血圧や脈拍に注意
瞳孔不同に注意
普段から観察し、悪化がないか確認していくことで早期発見につながります
起床時の頭痛が激しくなる場合があります
例えば、もともと片麻痺がある方は、悪化しないかどうか観察することで病状を把握できます
脳神経外科病棟でよく起こり得る状況を考慮し、以上の2点を紹介させていただきました。他にも脳神経外科の特有として、神経症状がありますのでそちらも勉強しておくのがいいでしょう。あとは麻痺のある患者や臥床患者のケアも多いのですが、こちらは基本的な看護技術を勉強しておけば問題ありません。
事前に知っておくことで、ある程度心構えができると思います。新しい生活への不安が少しでも軽減でき、脳神経外科の看護を好きになって頂きたいです。「脳」って聞くとなんだか難しそうと思いますが、とてもやりがいのある看護が多く、知れば知るほどとても楽しいですよ。
少しでも脳神経外科看護についてご理解いただけたでしょうか。お役立ち頂けましたら幸いです。
]]>また、65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患すると予測されています。現在の医療現場でも、認知症を患っておられる患者さんと関わる機会は多いのではないでしょうか。
そんな認知症の患者さんに対して実践されてる「バリデーション療法」を皆さんはご存知でしょうか?今後の超高齢化社会において、さらにその必要性や役割が期待される「バリデーション療法」について解説していきます。
バリデーションとは、1963年にアメリカのソーシャルワーカーであるナオミ・ファイル氏によって提案されたアルツハイマー型認知症および類似の認知症の高齢者とコミュニケーションを行うための方法の一つです。
バリデーションとは元々「確認する、認める、強くする」の意味を持っています。「認知症の人の経緯や感情を認め、共感し、力づける」という意味でバリデーションとという言葉を使っています。
バリデーション療法はアメリカやスウェーデンを中心に1万を超える施設で取り入れられているといわれています。日本国内でも多くの施設で研修などが開催されており、看護師だけでなく、看護補助や介護士に対しての研修でも取り入れられています。
バリデーションとは、コミュニケーション技術です。コミュニケーション技術を活用することにより、患者さんの訴えや行動の裏側を理解しすることが目的となります。バリデーション療法を実践する際に最も重要なのは「傾聴」の姿勢です。認知症の患者さんにとって、「言葉」は中身のないただの「記号」になってしまうといわれています。
会話をしていて、私たちの言葉を聞いているように見えても、言葉を理解しているかどうかは判断が難しくなります。しかし患者さん自身が、自分自身の言葉で話をしている時は、自分の話を「聞いてくれる人」、「聞いてくれない人」の判断はされているのです。まずはしっかりと患者さんの話に耳を傾けることを忘れてはいけません。
患者さんが何かを訴えた時、例えば「誰かに見られている」と訴えた時、「そんなことないですよ。」「本当ですね、見られてますね」という返答をすれば、患者さんの感情を否定したり、誤魔化すことになってしまします。「どんな人に見られてます?」、「どこで見ていますか?」という返答により、患者さんの思いを教えてもらい、感情や気持ちに近づくことが「バリデーション」の基本となります。
感情や気持ちに近づくということは、その訴えの背景にある患者さんの思いの本質に近づくことができるのです。認知症の患者さん行動には全て意味がある行動であるとし、なぜそのような行動をとるのかと言う事を知ることこそが、バリデーションの基本です。そのためにも患者さんに「嘘をつかない」、「誤魔化さない」ということが大切なのです。
バリデーションには「14のテクニック」があります。
こちらの精神状態が不安定では患者さんの心と向き合うことはできません。
まず深呼吸などで気持ちを落ち着けましょう。
患者さんの質問に対して「はい、いいえ」で単純に答えるのではなく、いつ、どこで、誰が、どのように、何、なぜ、(5W1H)などの次に自由に回答できる質問をします。自由に回答できるようにすることで、患者さんの考えや思いを具体的に知りやすくなります。
患者さんの質問を声の大きさや口調も真似て繰り返し質問します。「これはもう必要ない」と言われれば、「これはもう必要ないんですね?」などのよう繰り返しましょう。患者さんは自分が言ったことを確認できると安心できるのです。
視線を合わせ、患者さんを長く見つめることで、安心感を与えることができます。
肩に手を置く、両手で頬を包み込むなど、患者さんに触れるということも患者さんに安心感を与えることができます。
最高、最低、最悪などの極端な表現をしましょう。極端な表現をすることで、感情を発散させる手助けになります。
⑦反対のことを想像させる
「誰かが私のお茶を飲んだ」の訴えに対しては「その人がお茶を飲まない時もあるんですか?」など、否定、肯定でもない、反対の事を想像させます。反対のことを想像させることは若い頃などに困難から立ち直った方法などを思い出の中から導き出すきっかけになります。
会話や質問を過去と結びつけましょう。過去で自分で行っていたこと、考えていたことを再び取り戻すことのきっかけになります。
何を言っているか聞き取れなかった場合などは、曖昧な表現によりコミュニケーションをとることは出来ます。
患者さんの好きな感覚(視覚、触覚、嗅覚など)を見つけ、それを連想させる言葉をコミュニケーションで活用します。好きな感覚を用いることにより、自分を理解してくれているという信頼関係、また好きという感情により、心地よさを与えることが出来ます。
高齢者は高音が聞こえなくなっている場合が多く、低い声ではっきりと話しかけることに注意して会話をすることが大切です。またゆっくりと落ち着いた口調で優しく語りかけることで安心感を与えることが出来ます。
昔好きだった音楽や歌は、過去を思い出させる良い刺激となり、気持ちを落ち着かせることにつながります。
相手の言葉だけでなく、表情や声の大きさ、また徘徊時などは一緒に歩き、立ち止まれば一緒に立ち止まる、などの行動も真似ることにより言葉以外のコミュニケーションを保つことが出来ます。会話と言葉以外のコミュニケーションは、より患者さんの気持ちを知るということ、また患者さんを理解することにつながります。
不穏な行動や言動がある時には、「愛されたい」「人の役に立ちたい」「感情を発散させたい」という人間的欲求のどれに当てはまるか考えましょう。患者さんの行動や言動の理由に知ることにつながります。
患者さんの状態に合わせて、これらの「14のテクニック」を使い分け、患者さんの思いや、行動の本質を知り、不安やストレスを取り除き、患者さんとの信頼関係を築くことにより安心感を与えることができるのです。これがバリデーション療法です。
患者さんの全ての行動や言動には必ず意味がある。自分自身の日々のコミュニケーションを振り返ってみてください。取り入れることができるテクニックは多いのではないでしょうか。
日本国内で「バリデーション療法」を積極的に普及している学会が、「公認日本バリデーション学会」です。2003年に「日本バリデーション学会」は設立され、2006年にはアメリカのオハイオ州に本部を置く、バリデーショントレーニング協会から「公認」を受け、「公認日本バリデーション学会」と名称を変更、日本で唯一公認団体となりました。
バリデーション療法の創設者でもある、ナオミ・ファイル氏を招いでの講演会を始め、全国各地でセミナーを開催しています。また「公認日本バリデーション学会」が認定する「バリデーション・ワーカー」の育成、資格審査を行っています。
「バリデーション・ワーカー」コースは、東京、大阪で開催されており、全6回(各2日の合計12日間)のスクリーニング後、実践実習、議題提出、筆記、実技試験により合否判定されます。バリデーション・ワーカー取得後は、さらに「バリデーション・グループリーダー」「バリデーション・ティーチャー」などスキルアップ資格もあります。
「バリデーション療法」は患者さんの本質を知るテクニックではありますが、これは看護師や看護補助、介護士だけに有効なスキルではありません。在宅で介護をする認知症患者さんのご家族にとっても非常に有効なスキルです。患者さんが在宅で安心して生活をするためにも、またその介護をするご家族にとっても気持ちを理解し、介護するということは大切です。
今後の超高齢化社会に伴い、認知症の患者さんも増加し、さらには在宅で介護を受ける認知症患者さんは急増します。「バリデーション療法」は、病院はもちろん在宅の場でも、看護師だけでなくご家族にも是非実践して欲しいスキルだと言えます。
認知症の患者さん行動には全て意味がある行動であることを今一度認識し、なぜそのような行動をとるのか、その行動の奥にある思いを知ることは、必ずより良い看護につながります。是非実践してみてください!
]]>自分の興味があるもの、知識やテクニックを身につけるためのもの、看護、医療系の雑誌など、さまざまな書籍が販売されていますが、皆さんはどのような書籍を活用されていますか?今回は私を含めた現役看護師が活用しているオススメの書籍をご紹介したいと思います。
出典元 www.amazon.co.jp
看護学生からベテラン看護師まで、看護に関わる人なら持っていて絶対に損はない一冊。
こちらはタイトル通り、病気のメカニズムなどを分かりやすく解説している書籍です。
各分野の病気を
①消化器
②循環器
③糖尿病・代謝・内分泌
④呼吸器
⑤血液
⑥免疫・膠原病・感染症
⑦脳・神経
⑧腎・泌尿器
⑨婦人科・乳腺外科
⑩産科
の全10タイトルでまとめてあります。スマーフォンアプリとこちらの書籍と併用して使用することもできるので、スキルアップにもつながります。
現在自分が勤務している診療科、疾患のタイトルは是非購入してほしい!と実際に同僚や後輩にも紹介した書籍です。イラストや写真も多く、実際のレントゲン画像等も掲載されており、解剖生理→症状→検査→診断→治療と、細かく病気が解説してあります。目で見てパッと理解できる非常にわかりやすい書籍です。
出典元 www.amazon.co.jp
看護技術の手順や根拠などは時代と共に変化しています。そんな看護技術の現在を知るにはこの一冊がオススメです。もちろん基礎看護技術をマスターするために、看護学生さんや新人看護師にもオススメです。
写真が多く、具体的に非常にわかりやすく看護技術が解説されています。自分自身の看護技術を振り返るのにも非常に役立血ます。新人教育の現場でも私は実際に使用した経験もあり、新人看護師にも勧めた一冊です。
一つの看護技術を教えるにも、何となくやってる業務だからではなく、しっかりとした根拠が大切になります。施設、施設のやり方はあるのとは思いますが、共通した視点や認識で、根拠に基づき教育することは大切なことです。教育する側、される側、両方の人に活用してほしい一冊です。
出典元 www.amazon.co.jp
クリニカルパスを学びたいならこの書籍がオススメです。
クリニカルパスは日々の業務の中で欠かせないものになっていますが、その本来の目的を皆さんは理解して活用できていますか?また職場でのクリニカルパスの作成や編集をする際にもこの書籍は非常に役に立ちます。
クリニカルパスが、分かって、作れて、使いこなせるための入門書という内容で、具体的に様々なことが解説してあり、看護師なら絶対に持っておいて損はない本気でオススメしたい本です。
フィジカルアセスメントを学ぶにはこの本が絶対オススメです。フィジカルアセスメントは救急分野ではよく聞くフレーズですが、看護師として働く以上、絶対に役立つスキルです。
フィジカルアセスメントのなぜ?を解決しながら、基礎的な知識と技術を解説するガイドブックです。写真はありませんが、丁寧に図解してあり、読みやすくわかりやすいので、新人看護師さんからベテラン看護師さんまで幅広く活用してもらえる一冊です。
新人看護師の教育をする際に、看護技術や業務を学ぶ前に、まずは社会人として育てる事から始めることが大切です。
日本看護協会の新人看護職員教育の根幹になるものは「社会人」として、また「看護師」としての自覚と責任を持つことが大切であるとしています。そんなときに役立つのがこの書籍です。新人看護職員教育に携わる人には是非読んでいただきたい一冊です。教育関連の書籍はたくさんありますが、社会人基礎力の育成をまとめた書籍は非常に珍しいです。
臨床の現場だけでなく看護学生育成の場でも使える書籍であり、新人看護師、看護学生にも読んでもらいたい一冊です。
看護の様々な場面で役立てることのできる「書籍」は、日々の看護においても、またスキルアップの面でも非常に有効な「武器」になります。どの武器を選び、どのように使っていくかは自分次第です。
また書籍を選ぶ時のポイントは無理して難しいもの、高価なものを購入する必要はありません。
自分自身が読みやすい物でなければ、絶対に読めません。また内容を理解し活用することもできません。ネットで簡単に書籍が買える時代ですが、書店で一度は内容を確かめてみるのも良いと思います。自分自身の武器を是非探し、活用してください!
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