ここまでOK!これはNG!ナースの鶏眼と胼胝ケア6つの注意点

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近年、フットケアのニーズが高まり、スキルを取得されて活躍している看護師さんが増えてきました。魚の目やタコのケアに対しても、マシーンやコーンカッターなど専門的な道具を使用している姿がメディアなどで紹介されています。

感心の高いフットケアで、看護師さんが知りたいことの1つに、「わたしたちは、どこまでケアをしてよいのか?」という質問が多いのです。

この記事では、これからフットケアを学びたいと考えている方へ、技術を習得された看護師さんたちが、業務上とくに注意しているポイントを鶏眼・胼胝のケアからお伝えします。

1.業務する上で、重要な5つのこと

おさえておくことは、ナースは国家資格になりますが、フットケアは民間資格です。日本の場合、病院やクリニック、訪問看護などに所属している看護師さんのフットケアは、医師の指示指導のもと施行します。しかし、病院を出てフットケアサロンを独立開業する看護師さんは、身分保障がありません。そのため、国の法律に抵触しないように法規を知り、自主規制が大切です。

「刃物」はNG。「やすり」はOK。

胼胝や鶏眼処理は角質を「削る」ケアを行います。この「削る」行為が、「誰のために」、「どんな道具を使用して」、「誰が施術するか」について、各施設や企業でよくよく検討を行い決めておいたほうがよいでしょう。私たちはヤスリ類を使用し、皮膚を傷つけないよう注意します。血液を出してはいけません。医療用メスなど刃ものを使用する場合は、医師にお願いします。

「治ります」はNG。緩和するはOK。

「治る」、「良くなる」、「治療」という言葉⇒「改善する」、「緩和する」、「施術、トリートメント」という言葉を使用します。

「薬品」はNG。「化粧品」はOK。

病院では、先生が処方したものや病院指定の薬品を使用できますが、フットケアサロンでは化粧品を使用します。

医師法、薬事法など関連法規に抵触してはいけない。

このほか、理学療法士及び作業療法士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律があります。「マッサージ」という表現も、あん摩マッサージ指圧師の治療用語です。そのため、フットケアに関連する他職種の法律に抵触しないよう法律を知り、自主規制することが、自分や周囲を守ることにつながります。また感染予防のためにも、衛生法規を遵守の上、衛生管理に努めましょう。

主治医の許可が必要な人。

特に、以下の方はフットケアサロンでの施術は禁忌です。病院受診をすすめましょう。
◆透析、糖尿病、膠原病の投薬中。
◆事故・けがなどで治療中。
◆傷や炎症、感染の疑いがある。

2.胼胝・鶏眼のケア

胼胝(べんち)・鶏眼(けいがん)とは

持続的な圧迫や摩擦によっておこる部分的な過角化。場所は、足趾や足底に生じやすく、靴が合わない、足の変形によるものが多いです。

胼胝は、角質が同じように肥厚しているため圧痛はほとんどありません。鶏眼は、角質の中心が楔形の芯となって真皮まで侵入します。圧迫すると神経に触れ、痛いです。外観は、中心だけ色や質感が異なるので、鶏や魚の目のようにみえます。硬い鶏眼は骨が隆起しているところにでき、軟らかい鶏眼は趾間にできやすいです。

治療方法

まずは、痛みを除去すること。そして、トラブルの繰り返しを防ぐため、刺激の原因を避けることです。靴の改善や角質ケア、スピール膏の貼付、フットパッドやテーピングの使用などがあります。

病院へ行く

地域の皮膚科や整形、形成外科。またはフットケア外来への受診。(※病院一覧は日本フットケア学会HP http://footcare.main.jp をご参照ください。)

フットケアサロン

保険診療ではありませんが、美容目的やリラクゼーションなどのオプションもあります。マシーンややすりを使用した施術です。

その他、自己流

スピール膏を薬局で購入し、カッターで削る方がいらっしゃいます。しかし、再発することが多く、感染や出血の危険がありますので専門の看護師か医師などに相談したほうがよいです。

3. 鶏眼と胼胝ケア6つの注意点

以下に、鶏眼・胼胝を削るときの注意点を紹介します。

① 観察時に、足底疣贅(イボ)の疑いがある時は、触らず病院受診をすすめる。疣贅は圧迫部と関係ない部位にも多発し、血管の点々が見えるのが特徴です。

② 道具は、やすり(電動ヤスリ、レデューサー)と芯を取るスコップを使用することが多いです。コーンカッターは刃物ですので、施設や医師と施行者はだれか事前に役割を相談しましょう。

③ 削り方は、やすりを使用し、硬さや肥厚の程度を指で触りながら削ります。マシーンやヤスリの同一部位の長時間使用は、火傷や出血を起こしやすいので注意してください。マシンの原理は、砥石(といし)のようなものを高速で回転させ肥厚した角質の表面を研磨します。そのため、マシーンの先に接続するアタッチメントの使用目的や回転数を把握しておくことが安全に使用するポイントです。

④ 厚い胼胝は、1回で全部削らず約1~2割程度残し、数回に分けます。一気に削ると靴などの刺激に直接さらされてしまうためです。

⑤ 鶏眼は、中心部の芯を掻きだします。しっかり足を伸展し、スコップの角度を45℃にして外堀から中に向かって求心するように削ってください。ただし、鶏眼の芯を取る際に、真皮付近まで近づいた場合は、全部削らず、新陳代謝をまって2週間後に再度ケアを行います。

⑥ 出血させないことが絶対条件です。適切な研修をうけた看護師がケアを行いましょう。

まとめ

胼胝・鶏眼は、予防可能な足トラブルです。看護師がどこまでケアしてよいかについては、国の法律を遵守する範囲内であれば、スキルや知識の向上により対象者はより広がります。ただ、私たちの目標は、「削る」スキルの上達だけではなく、「トラブルを繰り返さないケア」です。ここの方向性がズレないように、さらによりよい鶏眼・魚の目ケアにつなげていきたいですね。

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