私は、乳幼児の外科と内科の混合病棟に勤務していたため、手術患者さんの術前・術後の看護ケアや、長期入院患者に対しての看護ケアなど日々忙しい毎日を過ごしていました。
小児看護は、幅広い年齢からみた多種多様な疾患のことだけでなく、子どもの成長・発達の面からも看護を提供しなければなりません。
また、看護の対象が子どものため、家族の協力が必要不可欠です。この点が成人・老年看護と大きく異なり、通常の看護技術だけでなく、子どもの心の問題の理解や、家族への指導など、さまざまな点に配慮していかなければいけません。
看護師は、日々、必ず実施しなければならない看護業務に加えて、仕事中に突然押し寄せてくる予期せぬ「多重課題」に常に対応しながら仕事を行っています。慌ただしい毎日を送っており「あれ?もうこんな時間。あともう少しで仕事終わりだ。」なんてことたくさんあると思います。看護師として働いている限りずっと密接に関与している「多重課題」。新人看護師はもちろん、ベテラン看護師でも常に直面します。今回は、「多重課題」について考えてみたいと思います。
多重課題とは
多重課題とは、複数の患者対応の中で、安全な看護ケアが提供できるように優先順位を考えて行動することを言います。
看護師の仕事で求められることとして、複数患者を受け持ち、それぞれに必要な処置や治療、看護ケアを迅速かつ安全・丁寧に、時間内に行う事です。
また、医師からの急な指示変更や指示追加にも対応したり、家族とコミュニケーションする時間を設けたりと、その都度看護ケアの方法や、時間帯等を変更、追加しながら実践し、自分の勤務帯に全てを終わらさなければなりません。
多重課題に対応するには
多重課題に直面したときに、一番大切なことはきちんとアセスメントをした上で優先順位をつけて対応することです。
看護師は業務が多く、時には業務が重複してしまうこともあります。そのため、優先順位をしっかりつけて、効率良く働く必要があります。
また、優先順位を間違えてしまうと、患者さんに危害が加わり安全を脅かすことにつながることもあるので注意が必要です。
優先順位をつける際に、第一に重要なのは「生命の危険の有無」について考えることだと思います。
第二に、「安全」、「患者への配慮」、「時間管理」の視点をもとに業務を行うことが重要だと思います。
多重課題シミュレーション
新人研修の中で、最近「多重課題シミュレーション」という内容が多くの医療機関で取り組まれています。これは、場面設定をした多重課題の状況で、どのように対応すればよいかを考え優先順位をつけて行動する研修です。
私も新人だった頃に受講しました。同時に胸痛を訴える患者、そして排泄の訴えがある患者、点滴が終了しそうな患者、輸液ポンプのアラームがなっている患者などがいたりと・・・。自分なりに「生命の危険の有無」を念頭に置き瞬時に優先順位を考え対処しました。
また、多重課題シミュレーションの事後研修として、映像で自分の看護を振り返ることを行う医療機関が多いです。これは、自分の看護を客観的に見る機会となり、患者への接し方や、どういう状況だと自分だけで対応することが困難なのかという今後の課題が明確になります。
まとめ
多重課題に対応するには、色々な臨床場面を経験し、自ら体験して学び、少しずつ自分なりの優先順位のつけ方や対処方法を身につけていくことが大切です。一人で悩まず、周りの同僚や先輩はどのような対応をしているのか観察したり聞いてみたりして自分の看護のレパートリーを増やしていくことも大切です。
大きな病院や、クリニック・福祉施設など看護師の働く場所は様々ですが、どこに勤めていても、直面するのが多重課題です。一度、自分の看護を振り返ってみてはいかがでしょうか。
ケアスタッフ
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