急な入院でも失敗しない!アナムネーゼ聴取のコツと注意点

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事前に入院が決まっている時などは、一日の予定としてアナムネーゼ聴取もやりますが、夜勤や人が少ない時で忙しい時に聴取しないといけない時もあります。効率よく、失敗せず情報収集できるよう今回はアナムネーゼ聴取のコツと注意点をお送りしたいと思います。

聴取のコツは13領域別にあり

患者様から情報収集をする際、一体何を聞けばいいのか考えてしまう人もいるかと思います。そうした場合、NANDA(北米看護診断協会)で使う看護診断の13領域が役に立ちます。

全く情報がなく、どんな人なのか分からない場合で看護問題を立案するためにも、看護診断(情報を元に看護問題を抽出する作業)を元に情報を集め、アセスメントすれば、おのずとどんな人で何が問題で何をする必要があるのかが、見えてくると思います。

13領域は以下になります。

領域1:ヘルスプロモーション

健康認識や健康に対する価値観、既往歴、内服薬、アレルギー・感染症の有無

領域2:栄養

食事摂取の自立度、1日の食事回数、食事内容、嗜好品、誤嚥の有無

領域3:排泄と交換

排泄の自立度、1日の排泄回数、頻尿・便秘など排泄以上の有無、ウロストーマ/コロストーマの有無、おむつ使用の有無

領域4:活動/休息

1日の生活リズム、運動習慣、睡眠状況、睡眠薬使用の有無、熟睡感や疲労感の有無

領域5:知覚/認知

言語障害・感覚器障害の有無、会話手段、白内障や難聴の有無、補聴器使用の有無、認知症の有無、言葉の理解度

領域6:自己知覚

病気に対する価値観、治療に対する価値観、優劣感情の有無、精神疾患の有無、社会的に価値のある存在と思っているか

領域7:役割関係

家族構成、家族間の役割、配偶者や子供の有無、婚姻歴、職場の有無や役職の有無

領域8:セクシュアリティ

性同一性について、パートナーや配偶者の有無、性格上の特徴

領域9:コーピング/ストレス耐性

不安・心配なこと、ストレスと対処法、問題行為の有無、術後せん妄の既往や認知症の有無

領域10:生活原理

信仰、大事にしている価値観や考え、目標など

領域11:安全/防御

感染症の有無、血液疾患やHIVなど易感染状態の有無、転倒などによる外傷の既往

領域12:安楽

リラックス方法、休息時間や時間が確保されているか

領域13:成長/発達

発達段階

これらを踏まえ情報収集をしていくことで、入院してきた患者象だけではなく、家でどんな生活をしてきている人か、入院の原因になりうる要因がないかを知る手助けとなり、ケアに役立てることができるでしょう。また勤務地でアナムネーゼ用のフォーマットがあれば、その順に聴取するのも良いでしょう。

聴取時に心掛けたい基本姿勢

何を聞くかある程度頭に入れられたら、次は聴取時のイメージをしておくと、揚がらず落ち着いて聞きたいことをスムーズに聞くことができます。また以下のようなことを心掛けると良いでしょう。

  • 本人から聴取可能な時は基本的に本人を主体に。家族が同席している場合は、家族が思う本人像、家族の入院に先立ち気になることが無いか初めに聞く。
  • 聴取場所は個室や面談室。ロビーという手段もあるが、個人情報の為、安全のためにも人がいる場所にしない方が無難。
  • 聞く内容は簡潔な質問を。相手も聴取時は緊張しているので、うまく答えられるか内心では心配している。どういう言い回しをして聞いたらいいか分からない時は、先輩看護師に相談したり文面にまとめ、はっきりさせておくと後々役立つ。
  • 何か共通点がある内容があれば勇気をもって言ってみる。両親が癌で同様の手術をした、犬を飼っている、同じ薬を服用しているなど、共通点があれば相手との距離感を縮めることもできる。
  • かといって、質問事項以外のプライベートな内容を詮索する質問はしない。自己開示する分には良いが、詮索は気持ち良いものではない。
  • 聴取は30分~1時間にとどめる。相手が疲れてしまう。

心構えをまとめました。大事なのは情報収集を通じ、相手のことを理解しようとすること、情報収集の場を本人や家族に利用してもらいながら、入院する不安を表出・緩和してあげることが基礎にあると考えます。聞く以外にできるコミュニケーションテクニックは沢山あったりします。

これからは在宅医療の時代 聴取とともに退院後も考えてあげて!

入院していると、やることは入院中の管理やケアだけと思いがちですが、患者様や家族は退院の後の生活があります。病気を抱えながらの生活はとても不安であると考えます。よって入院時、情報を聴取した段階から退院を見据えたケアも必要です。

例えばカテーテルを留置して帰る場合は入浴や消毒、抜けた時の対応方法。癌OPE後であれば痛い時や定期検診の重要性、食事や嗜好品との付き合い方、生活習慣病を起こさないようにするなどです。

これからは在宅医療の時代で、1人の入院期間も短くなっていきます。関わる患者様が退院後も安心して生活できるには、どんなケア・指導・在宅援助が必要か考えてみましょう。またそうしたことを行うためソーシャルワーカーや、退院調整看護師との連携も大切になってきます。

ここまでアナムネーゼ聴取のコツから、聴取を超えて介入したら親切であることまで書いてきました。日々の業務に役立てば幸いです。

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