褥瘡の申し送り方法で気を付けるべき7つのポイント!

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褥瘡の状態や処置方法について申し送りを聞いていると、この看護師さんはわかりやすい、この看護師さんはわかりにくいと感じたことはありませんか?

「褥瘡の滲出液は中等量です。」と申し送られた時、中等量ってどの程度だろうと、いちいち確認するのはめんどうですよね。

また慣れた看護師ほど、このくらいわかっているだろうと丁寧な説明を省いていることもあり、ベテラン看護師内は理解できるけれど新人であればあるほど、実は分からないものです。

でも、ちょっとした心がけ一つで、相手にわかりやすく伝わる方法があります。チーム内で迅速で正確な情報共有ができるよう、褥瘡の申し送りで気を付けるべき7つのポイントをDESIGN-Rからご紹介いたします。

DESIGN-Rってなに?

DESIGN‐Rとは、日本褥瘡学会が発表した褥瘡評価ツールのことです。従来のDESIGNは褥瘡の状態を評価するだけでしたが、2008年より名前がDESIGN-Rに改訂され、新たに重症度を判定できるようになりました。

これにより、日本の病院や施設で効果的な治療につなげる指標としてよく用いられるようになり、現場で実際に使用している医療者も多いかと思います。

(2008年改訂版褥瘡経過評価用)(表1) http://www.jspu.org/jpn/member/pdf/design-r.pdf

1)D…深さ

2)E…滲出液の量・性状

3)S…大きさ

4)I…炎症/感染兆候の有無

5)G…肉芽組織の有無、割合、色

6)N…壊死組織の有無、割合、硬度

7)P…ポケットの部位と大きさ

DESIGN-Rの記載されている用語を用いて申し送り

このDESIN-Rの褥瘡評価ツールは、7項目(深さ、滲出液、大きさ、炎症/感染、肉芽組織、壊死組織、ポケット)ごとに点数化して合計を判定。簡便な重症度と治癒過程を知ることができます。

項目内の文言は、医療者であれば誰もが理解できる用語で構成されているため、褥瘡の経過を客観的に観察し点数化できるようになっています。

例えば、DESIGN-Rに記載されている用語を用いて褥瘡の状態を報告すると

「深さは真皮まで、滲出液は1日1回のドレッシング交換程度、薄い黄色、大きさは3cm×5cm、発赤があります。」

医療職であれば誰にでも十分に伝わるかと思います。

それでは、7項目に記載されている言葉を順番に説明し、わかりやすい伝達方法をお伝えします。

褥瘡の状態をわかりやすく報告する

1)深さ(Depth)を伝える

創内の一番深い部分をみて、どこまで損傷しているかを判定して伝えます。

例えば「けっこう浅めです」「やや深めです」と表現するよりも、「真皮まで」「皮下組織まで」と下記の言葉を使用した表現がより相手がイメージしやすいかと思います。

・持続する発赤のみ

・真皮までの損傷

・皮下組織までの損傷

・皮下組織を超えた損傷

・関節腔・体腔に至る損傷

2)滲出液(Exudate)の量と性状を伝える

1日のドレッシング交換の回数と色を伝えます。

病棟の申し送りでは、顔なじみの看護師さん同士なので、すでに理解しているという前提で「少量~多量」と表現されているところが多いかもしれません。しかし多種職スタッフの多いところや、新人看護師さんとの申し送りは、できるだけ交換回数を伝えると、思いこみなどの主観的判断を避ける訓練になってよいです。

・少量 :毎日の交換不要

・中等量:1日1回の交換

・多量 :1日2回以上の交換

性状は、主に色を伝えます。正常な経過は透明~薄い黄色で粘性が低いものですが、そうではない場合は下記の表現になります。

色は大きく分けて5色

・混濁

・ピンク~赤

・緑

・茶

・灰~青

粘稠度

・高い

・低い 

3)大きさ(Size)を伝える

 ディスポーザブルの紙定規や定規用マスキングテープを使用して、褥瘡の長径cm×短径cmを伝えます。

4)炎症/感染(Inflammation/Infection)兆候を伝える

 炎症や感染兆候がある場合は発赤や疼痛、膿などの用語を用いて伝えます。

・局所の炎症徴候あり(発赤,腫脹,熱感,疼痛)

・局所の感染徴候あり(炎症徴候,膿,悪臭)

・全身的影響あり(発熱など)

5)肉芽組織(Granulation tissue)の割合(%)と色を伝える

皮下脂肪組織を超える褥瘡では、治癒までに1年以上かかることもあります。その過程で黒色→黄色→赤色→白色と褥瘡の表面の色に変化がありますので、割合だけはなく色も伝えるとわかりやすいです。「色は赤色で、良性の肉芽が50%です。」

・黒色:壊死した組織の塊が黒く変色している状態

・黄色:黒色の塊が取り除かれ、周囲の脂肪組織が見える状態

・赤色:組織が治る過程で、血管に富む「肉芽組織」が成長してきている状態。

 ※注意!不良肉芽の場合は、ピンク色で浮腫があったり、創面より盛り上がっています。

・白色:皮膚ができ、傷が塞がる状態 

6)壊死組織(Necrotic tissue)の割合(%)と硬度を伝える

壊死組織があれば、柔らかいか硬いかで表現します。混在している場合は全体の割合から大きい方を伝えます。

・柔らかい壊死組織あり

・硬く厚い密着した壊死組織あり

7)ポケット(Pocket)の部位と大きさを伝える

綿棒や鑷子、またPライトなどを使用して長径cm×短径cmを計測します。

まとめ

写真や現場で確認すれば一目瞭然でも、わかりやすく相手に伝達するのは慣れないと難しいものですよね。

褥瘡は一度発生してしまうと治るのに時間がかかってしまうので、発症を未然に防ぐため、迅速で正確な情報共有が求められます。

また訪問看護や介護施設など地域で働くと、円滑な多種職連携が求められますので、わかりやすく相手に伝えるということが、より大事なスキルとして求められます。

申し送りで褥瘡の状態を伝えるのにDESIGN-Rをすべて覚える必要はありませんが、ちょっと意識するだけでずいぶんと伝え方が変わるものです。

ぜひ明日から実践してみてください!

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