禁煙支援で言ってはいけない8つの会話

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禁煙支援は、「よいコミュニケーションなくしてよい支援なし!」というほど、信頼関係や精神的な支えに伴うコミュニケーションスキルが求められます。

全国の病院で敷地内禁煙が広まり、一般外来や病棟でも様々な取り組みがなされるようになりました。

ナースの皆様も禁煙支援をする機会がますます増えてくるかと思いますので、よい支援ができるよう喫煙者のやる気を引き出すかかわり方をご紹介いたします。

禁煙支援で言ってはいけない8つの会話

ナースがやってはいけない会話は、

1.責める

2.問題のすり替え

3.脅す

4.専門用語・略語

5.共感・傾聴不足

6.冷たい態度

7.低い評価

8.上から目線

一言でいいますと、相手の自己効力感をさげるような会話には要注意です。

「やってないわよー。」と言えるナースの方々は安心ですが、もし周囲で8つの会話に近いことを話している医療者がおられたら、振り返るきっかけにして頂ければ嬉しいです。

責める

「タバコがだめだと分かっているのに、どうしてやめられないのでしょうか。」

対象者は責められていると感じます。あまり追い詰めすぎないようにしましょう。

問題のすり替え

「タバコがやめられないのは、ニコチン依存症と、それに伴う習慣。そしてご自身の意志の強さにも関係します。」

挑戦する前から自信喪失させてはいけません。自分の意志とは関係ないことを伝えましょう。

脅す

「こういう感じで悪くなっていきますよ。もしこのままタバコを吸い続けると、肺がんになり、家族の寿命を縮め、不幸の連鎖が続きます。」

怖がらせてはいけません。なるべく楽しく、楽に禁煙できる雰囲気をつくりましょう。

専門用語・略語の使用

「治療はカウンセリング療法と、ニコチン置換療法または非ニコチン製剤を併用し、呼気一酸化炭素濃度測定器による測定と、TDSテスト…」

普段聞きなれない漢字やヨコ文字は、頭からサーと流れます。説明時は、喫煙者が日常で使用する言葉を使ってあげましょう。

共感・傾聴不足

「そんなに辞めたい意志があるのでしたら、やめたらいいじゃないですか。」

簡単にやめられないから喫煙者は苦しいのです。気持ちを聞いて理解したことを伝えてあげましょう。

冷たい態度

「退院が長引いたり、治療が遅れるのはあたりまえですよ。自業自得です。」

温かい支えを求めています。突き放さず、支えになってあげましょう。

低い評価

「あの患者さんが辞めたのに、ご自身はどうしてやめないのでしょうか。」

他人と比較すると自尊感情が傷つきます。競争心ややる気は人から強制されているのではなく、ご本人自らの高まりが必要です。

上から目線

「やればできるじゃないですか。おわかりになりましたか。」

「馬鹿にしているのか。」と誤解されて、信頼関係の構築がスムーズにいきません。同じ目線に立ちましょう。

ほとんどの喫煙者は、「タバコは害があるのでやめた方が健康によい。でも病気にはなりたくないけど簡単にはやめられない。」という葛藤を抱えています。

そのため、葛藤している気持ちをまずは理解してあげることがナースの最初の会話になります。

ナースに求められてるのは傾聴と共感

喫煙者が禁煙成功のためにナースにもとめていることは、自分の苦しさをわかってくれる傾聴と共感です。

喫煙している方々の気持ちは、「やめたくてもやめられない」という思いを抱えていますので、まずは喫煙者の気持ちを知り、そもそもタバコを「やめたくてもやめられない」のは、ご自身の意志が弱いのではなくニコチン依存症という「病気」と伴う「習慣」だということを伝えて認識してもらうことからはじまります。

決して、ご自身の根性がないとか、気合がたりないという性格のお話ではないことを認識してもらいます。

喫煙者は自分の苦しさをわかってくれるナースに安心して心を打ち明けますので、まずは「傾聴」と「共感」。

そこからご本人にあった禁煙成功の手がかりになる情報を得て、その人に合った関わり方を見つけていきましょう。

まとめ

一昔前までは、「禁煙支援」ではなく「禁煙指導」という威圧的な指示で一方的な関りをよく見かけました。

しかし、それでは効果が見られませんでしたので、最近では、「禁煙支援」と呼び方をかえて、喫煙者自身の気持ちに寄り添いながら、失敗しても温かく見守り支える関わり方にかわってきています。

ナースの役割は、喫煙者自身がタバコにコントロールされていることに気づき、行動を変えるお手伝いをすることです。

そのためには、喫煙者自身が「自分はできる」と自己効力感をアップさせ、自発的にトライしてもらうようにもっていくコミュニケーションスキルが求められます。

禁煙支援に関しての詳細は、「禁煙マニュアル」や「ヘルスプロモーション」がでていますので、日々の業務に活かしていただけると幸いです。

参考文献

禁煙支援マニュアル(第二版)

http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/kin-en-sien/manual2/dl/manual2.pdf

「一目でわかるヘルスプロモーション」

https://www.niph.go.jp/soshiki/ekigaku/hitomedewakaru.pdf

 

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