看護師必見!ノロウイルスの対策と処理方法

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ノロウイルスに感染した場合、嘔吐物や下痢便には、ノロウイルスが大量に含まれています。わずかな量のウイルスが身体の中に入っただけで、容易に感染します。嘔吐物や排泄物を処理する際には、感染したり、ウイルスが拡大しないように十分注意する必要があります。

感染対策の基本は「持ち込まない」「広げない」「持ち出さない」

基本的には個室隔離を行います。

同一微生物の感染であれば、同室入院も可能と言われていますが、その際もそれぞれの患者で予防策を遵守し、他の微生物の水平感染に注意することが必要です。

接触伝播を防ごう!その1、おむつ交換

おむつ交換は日常では頻繁に行われるケアの一つです。

ケアに携わる誰しもが環境や自身への暴露を最小限にする手技が求められます。

各施設のマニュアルがあるかとは思いますが、基本的な手順を載せますので参考にしてみて下さい。

おむつ交換の方法

①必要物品を準備する(手指消毒剤、おむつ、エプロン、マスク、お尻ふき、ビニール袋大・小各1枚)

入室時からビニールエプロン・未滅菌手袋・マスクを装着し、ベッド柵を下げる

③必要物品は患者の近くに準備する。ビニール袋は2枚とも口を開け、お尻ふきは必要枚数を出しておく

④衣類を脱がせる

⑤新しいおむつを汚れたおむつの下に敷く

⑥汚れた部分をお尻拭きで前から後ろに向かって拭く

⑦お尻拭きはビニール袋(小)に廃棄する

⑧汚染したおむつを外し、もう一つのビニール袋(大)に廃棄する

未滅菌手袋を外し、お尻拭きを廃棄したビニール袋(小)に廃棄する

⑩皮膚状態を観察し新しいおむつを着け、寝衣を整える

ビニールエプロンを外し、ビニール袋(小)に入れ各々の袋の口を閉める

⑫廃棄するおむつを持ち、ベッド柵を上げる

感染ごみとしておむつは室内に設置した蓋つきの廃棄物箱に廃棄する。

⑭マスクも外し廃棄物箱に廃棄する(マスクの外側は触れない!)流水と石鹸による手洗いを実施する

患者に直接触れる予定がなくても、ベッド周囲は汚染されている可能性が高いエリアとして考え、入室時からエプロン・手袋を着用することが必要です。

一連の手技の中で、いつ行えばよいか迷うのが手袋・エプロンを外すタイミングです。

清潔なもの、不潔なものが接触しないことを念頭に行いましょう。

また、施設によっては未滅菌手袋を二重にはめ、行うところもあるようです。

しかし、未滅菌手袋には目に見えない細かな穴が開いているため、ケア後の手指衛生は必須です。

ノロウイルスは、アルコールは効果がありませんので、必ず流水と石鹸による手洗いを実施しましょう。

接触伝播を防ごう!その2、嘔吐物の処理

嘔吐はいつどこで起きるかわかりません。流行時期に嘔吐があった場合には、感染性として対応します。処理が終わるまでは嘔吐のあったエリアには誰も入らないようにしておくべきですが、不可能であればできる限り遠くに離してください。3 m以内には近づかないことが大切です。

嘔吐物の処理の方法

  • 必要物品を準備する(手指消毒剤、ペーパータオル、エプロン、マスク、次亜塩素酸ナトリウム、ビニール袋吐物用大2枚・エプロン・手袋用小1枚、手袋2組、できればゴーグル)
  • 1%次亜塩素酸ナトリウムを作成する:水500ml+ピューラックス8ml

*次亜塩素酸ナトリウム(塩素系消毒剤)は濃度が200 ppmでは5分間1000 ppmでは1分間程度浸すことによって、ノロウイルスをほぼ死滅させる消毒効果があると言われています。

家庭用塩素系漂白剤であれば、200倍に薄めると200ppmとなります。

  • マスク、未滅菌手袋、ビニールエプロン、ゴーグルを着用する
  • 吐物を入れるビニール袋(大)を2重に重ね口を広げる。エプロンを入れる袋(小)も口を広げておく。
  • 吐物をペーパータオルで覆う
  • 吐物を外側から中心方向に向かって、集めるように吐物を拭く。吐物はビニール袋(大)に廃棄する
  • 未滅菌手袋を交換する
  • 1%次亜塩素酸ナトリウムで清拭消毒を行う
  • 袋の口を1枚ずつ閉じる
  • 未滅菌手袋を外し、ビニール袋(小)に廃棄する
  • エプロン・ゴーグルを外し、手袋を入れたビニール袋(小)に廃棄する
  • 袋の口を閉じ、室内に設置した蓋つきの廃棄物箱に廃棄する。
  • マスクも外し廃棄物箱に廃棄する(マスクの外側は触れない!)流水と石鹸による手洗いを実施する

嘔吐物や便に汚染した衣類やリネン類の処理

そのまま洗濯機で他の衣類と一緒に洗うと、ノロウイルスが洗濯槽内に付着するだけでなく、他の衣類にも付着してしまうので、マスク・手袋・エプロンを装着し、バケツ・たらいなどで、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いします。その際にしぶきを吸い込まないように注意してください。

下洗いしたリネン類の消毒は、85度の熱湯で1分間以上、洗濯します。

熱湯による洗濯が行えない場合には、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度 約200ppm)の消毒が有効です。(ただし衣類は脱色してしまいます)十分すすぎ、高温の乾燥機などを使用すると殺菌効果は高まります。

布団などすぐに洗濯できない場合は、よく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的です。

下洗いをした場所は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度 約200ppm)消毒液、洗剤を使って掃除をします。

幼稚園、保育施設、学校等では不用意に衣類を洗浄することによって、かえって施設内に大量に感染者を増加させてしまった例がこれまでしばしば認められてきました。原則的に、子どもたちの嘔吐物や下痢便が付着した衣類は洗浄せずにそのままビニール袋に入れて密封し、保護者の方に持って帰ってもらうことをお勧めします。

環境整備

高頻度に接触するドアノブ、ベッド柵、ナースコール、床頭台、オーバーテーブル、ベッドサイドの医療機器は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度 約200ppm)で1回/日以上丁寧に清拭洗浄を行いましょう。

施設内では、可能な限り聴診器・血圧計・ケア物品は専用のものを用い、共有は避けます。子どもの場合には、玩具の貸し借りは避け、出きれな清拭・消毒できるものを選択しましょう。

 

アウトブレイクし院内感染を起こした場合、その損失は1000万円にものぼったという報告もあります。

感染から守ることは経営上においてもとても重要ですね。

そのためには、平常時からのシュミレーションを行い、混乱なく対応できる体制つくりが望まれます。

 

【引用・参考文献】

1)厚生労働省:ノロウイルスに関するQ&A

http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/dl/040204-1.pdf

2)国立感染症研究所感染症情報センター:ノロウイルス

http://idsc.nih.go.jp/disease/norovirus/index.html

3)厚生労働省:高齢者介護施設における感染対策マニュアル

http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/index.html

4)田村英一郎:ノロウイルス感染症.小児看護36(1):23-26,2013

5)工藤真理恵:病棟における感染対策の実際 感染性胃腸炎対策.小児看護36(1):72-79,2013

6)美島路恵:アウトブレイク発生!どのように対応する?!.小児看護36(1):86-91,2013

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